セロ弾く乙女
解説
「ボートの八人娘」「秋の女性」と同じくエリッヒ・ワシュネックが監督した映画で監督者自ら原作脚色し、「ボートの八人娘」のフリーデル・ベーン・グルントが撮影に当たった。主演者は、「ワルツ合戦」のハンナ・ヴァーグで、「F・P一号応答なし」のシビル・シュミッツ、「別れの曲」ドイツ版の主役を務めたヴォルフガング・リーベンアイナー、歌手として有名なレオ・スレザーク、エルザ・ワグナー、ハンス・ユンカーマン等が助演している。
1934年製作/ドイツ
原題または英題:Musik im Blut
ストーリー
南ドイツ、シャンダウの町に老後を自適している楽長ハーゲドルンの娘ハンナは父の血をうけて音楽的才能に秀で、特にセロが上手だったので音楽学校入学を志望していた。ところが才能がありながら不遇であった父は音楽学校教授連を軽蔑し、娘のドレスデン遊学を許さない。それを知ったハンナの従妹カロラは伯父の頑固な気持ちを利用して妙計を案じ、ハンナにドレスデン遊学の許可を得させた。ハンナは非常な好成績で入学した。カロラの恋人ペーテルスは指揮研究科の優等生であったがハンナを恋人の従妹と知らず心惹かれる様になった。カロラは近々卒業後就職のためリガへ行くことになり、ペーテルスもある町の劇場のオーケストラ指揮者となるので二人が別れ別れになるのを残念がり、彼はカロラにリガ行きを止めるが、カロラは恋人の心の動揺を知ってリガ行きの決心を固めた。カロラが演奏旅行に行った留守にペーテルスはハンナに愛の告白をするが従妹との仲を知っていたハンナはそれを退けた。その翌日オーケストラ試演がペーテルス指揮の下に行われたが、セロを受け持つハンナは心の動揺から二度も間違えて演奏し、ペーテルスの為に満座の中でひどく叱責された。心秘かにペーテルスを愛しているハンナはこの事を悲しみ、無断で故郷へ帰ってしまった。カロラはハンナの恋心を察し、自分はいよいよペーテルスを諦めようと決心した。娘の突然の帰郷に驚いた父は、教授連にいじめられたと誤解して遥々ドレスデンへ出掛けて学校へ怒鳴り込んだが、学校当局はハンナを非常に嘱望している位でその帰郷は不可解だという校長の説明に心解け、又ペーテルス作曲の懸賞当選のセロ協奏曲をハンナが主演するときまりハンナにすぐドレスデンへ帰れと電話した。ペーテルスはハンナを迎えに行き和解を求めるが彼女は答えなかった。いよいよ演奏会の日ハンナのセロのうまさは人々を驚嘆させた。指揮しながらハンナを見下ろすペーテルスの目と、音楽に魅せられ静かに見上げる彼女の目が合ったとき二人の心は固く結び合わされたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エリッヒ・ワシュネック
- 脚色
- エリッヒ・ワシュネック
- 原作
- エリッヒ・ワシュネック
- 撮影
- フリーデル・ベーン・グルント
- セット
- ヘルマン・ワルム
- カール・ウェーバー