恋は終りぬ

解説

映画初出演のソプラノ歌手田中路子が「未完成交響楽(1933)」「ペエテルの歓び」のハンス・ヤーライ及び「予審」のアルバート・バッサーマンと共に主演する映画で「今宵こそは」出演のフリッツ・シュルツが監督に当たったもの。原作は「最後の中隊」の脚色者ハインツ・ゴールドベルクで、脚色はゴールドベルクを助けてガーライ・アルファイが協力した。撮影は「モナ・リザの失踪」「春のパレード」のウィリー・ゴールドベルガーの担任。助演はバッサーマン夫人たるエルゼ・バッサーマン、「ガソリン・ボーイ三人組」のオスカー・カールワイスを始めウィーン劇壇の俳優連が顔を並べている。作曲はフランツ・サァルマホファー及びリヒャルト・タウバーで、ウィーン・フィルハーモニー・オーケストラが演奏している。

1935年製作/オーストリア
原題または英題:Letzte Liebe

ストーリー

かつて著名な作曲家だったトーマス・ブルックは十年振りでアメリカからウィーンへ帰って来た。出迎えた昔の恋人ハンナは情熱を失った彼の姿に驚いた。ハンナの一人息子ワルターは以前ブルックの弟子であり、現在ではウィーン国立歌劇場の指揮者である。彼の指揮する「ドン・ジョヴァンニ」の初演を見に行ったブルックは、劇場で美しい日本の娘ナミコを紹介された。ナミコはハンナの弟子で遥かに日本から声楽の修業に来ているのだった。彼女の美しい姿と声が、ブルックの胸に長い間忘れていた交響楽のインスピレーションを呼び醒ました。幾日かの後彼はワルターに夢幻的な美しさに満ちた東洋風な曲を示した。驚喜したワルターは未完成のその曲を国立劇場へ持ち込み、ブルックは反対を押し切ってナミコに主役を演らせる事に成功した。次の日から厳重な練習が始まった。ワルターもブルックも熱心にナミコを指導した。若い二人は次第に愛し合うようになって行った。それを見るのはブルックには悲しかった。深く愛しているナミコから置き忘れられる自分が淋しかった。作曲が上演されない内に彼は自動車の下敷きとなって重傷を受け、未完成の曲に「最後の恋」と名付けて死んで行った。ナミコは初めての大作に主役を演じて華やかな成功を得た。しかし彼女にはブルックの死が不慮のものとは思えなかった。今更ながら彼の深い愛情が自分の上にじっと注がれていたのに気付いて、彼女はワルターとの熱い恋をも振り捨て、涙に濡れて故郷への旅へ出発した。

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