愛の悲劇

解説

レオ・ビリンスキー氏とアドルフ・ランツ氏合作の台本によって「世界に鳴る女」「ヴェリタス」等と同じくヨーエ・マイ氏が監督製作したミア・マイ嬢主演映画である。「最後の人」「裏町の怪老窟」等出演のエミール・ヤニングス氏、「燃ゆる大地」等出演のウラジミール・ガイダロフ氏が共演するほか、ルドルフ・フォルスター氏、アーノルド・コルフ氏、ヘルマン・ヴァレンティン氏、イルンガルド・ベルン嬢、グイド・ヘルツフェルト氏、ルドルフ・レッティンゲル氏等の腕利連が助演している。(無声、四篇)

1923年製作/ドイツ
原題または英題:Tragedy of Love

ストーリー

モロオ伯爵は何者かの為に殺害され、旅行中の伯爵夫人マノンは虫の知らせで途中から引き返した。アンドレ・ラバタンが先ず容疑者として取調を受けたが証拠不十分で放免された。嫌疑は転じて窃盗常習犯のオムプラードに掛かり彼の情婦ミュゼットを囮にして彼を逮捕した。しかしラバタンに対する疑いは未だ晴れず警察はマノンに勧めてラバタンと接近し其の罪状を明らかにしようとした。マノンはラバタンに会うと図らずも両人の間に恋が芽生えた。その為マノンも共犯の疑いを被り公判の席で辛辣な取調べを受けた。ラバタンは潔白な夫人が酷く扱われるのを見るに忍びず、自ら名乗り出て正当防衛の結果誤って伯爵を殺したと白状した。かくて彼は十五年、オムプラードは十二年の懲役を宣告されマノンは放免された。しかし老伯爵夫人は一旦夫殺しの嫌疑を被ったマノンを愛孫の母とする事は出来ないと言って拒んだ。やむなくマノンは愛児キティーと絶縁してルーマニアの大地主の家に家庭教師となって赴いた。幾年かの後マノンは故郷パリに帰った。ラバタンは獄中で自殺を図ったがオムプラードに助けられ出獄した。彼はとある大舞踏会でキティーを見て余りにマノンに似ているのに驚いた。オムプラードは裏切り者のミュゼットを殺そうとしたが却って其の手管に丸め込まれてしまった。ラバタンはマノンの行方を尋ねると彼女は既に九年前に死亡し、其の墓に毎週一回キティーが詣っていることを知った。そうして彼は偶然、墓場で死んだ筈のマノンとキティーが再会している様を見た。ラバタンは自分の無罪を弁明した遺書を残して自殺した。マノンは老伯爵夫人の赦しを得て愛するキティーを抱いた。

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