パーロの嫁取り

解説

北極探険家として著名であり、アーノルド・ファンク博士の「氷山」に親しく撮影指導の任に当ったクヌート・ラスムッセン博士が自ら脚色に当り、総指揮して、フリードリッヒ・ダルスハイム博士と共に、北極の地に於て、エスキーモの偽らざる生活を撮しとったもので俳優ならざる原住民が出演している点が近時の極地映画と類を異にしている。撮影技師はハンス・シャイブとワルター・トラウトで、音楽はエミール・レーゼンの担当である。

1934年製作/デンマーク
原題または英題:Palos Brautfaart

ストーリー

グリーンランドの夏。イヌイットの男達は氷の解けた海にカヤックを浮べ鮭を生捕ったり、オットセイを狩したりして冬の食糧を蓄える。女も家にいて、革をなめしたり、靴を作ったりして忙しい。彼女等の間で美人といわれているナヴァラナには熱心な求愛者が二人あった。一人は熊狩の名人サモ、一人は快活なパロであった。ナヴァラナは優しいパロの方に心を傾けていたが、それを知ったサモは、悪口歌競争の折り、パロの胸を刀でえぐった。二人の争いが次第に烈しくなるのを怖れたナヴァラナの兄達は、冬篭りを口実に別な島へと移って行ったが、サモは捕った大きな白熊の皮を土産にナヴァラナを訪ずれた。胸をさされたパロは、やっと傷癒えたがナヴァラナは既に去り彼のもとには彼女の心をこめて贈った白犬が一匹うずくまっていた。外は烈しい暴風雨だった。こうした暴風雨の夜小さなカヤックで海を渡って嫁取りに来たものには無条件で女を渡す習慣がイヌイットの間にあった。パロは決然とカヤックにとび乗った。命を賭けた旅を終えてパロはナヴァラナの前に立った。ナヴァラナの目には嬉しい涙が光っていた。彼女もまた髪を解いてパロのカヤックに打ち乗るのだった。波を渡る二人を追って、サモはカヤックを引き出した。サモの手には手練の槍が光っていた。カヤックの間が見る見る近づきサモは恨みの槍を打とうと身をひねらせた瞬間、荒浪がサモのカヤックを呑み込んだ。パロは、愛人を嫁取って、黎明の海を渡って父の待つ家へ帰って来たのである。

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