ジャズは踊る
解説
イギリスで評判のジャック・ペインとそのバンドとが主演する映画で、アーヴィング・バーリンの音楽を基としてウィリアム・パロックの書卸した脚本によりジャック・レイモンドが監督、「ウィンナ・ワルツ」「薔薇のワルツ」を監督製作したハーバート・ウィルコックスが製作したものである。なおペインを助けて「冬来りなば」等の無声映画に主演していたパーシー・マーモントが出演するほか、イヴリン・ロバーツ、ジョイス・ケネディー等が助演している。作曲はレイ・ノーブルで、撮影はO・H・ボロデイルの担任である。
1932年製作/イギリス
原題または英題:Say it with Music
ストーリー
フィリップ・ウェストンはクラシック物の作曲家として腕は持っていたが、当時流行のジャズの波に押されて、妻と一人の娘とを抱えて貧しい暮らしを続けていた。が、その或日、彼は目下イギリスで人気の焦点に立っているジャズの指揮者ジャック・ペインにめぐり会った。ジャックとフィリップとは昔欧洲大戦の時に戦友として同じ部隊に居り、同じ塹壕に起き伏ししていたのである。そして其の時、二人は作曲の賭けをして、フィリップが一曲を物した事がある。で現在はジャックがそれをジャズ・シムフォニーに編曲して彼のバンドの十八番に売っているのである。そんな意味もあってジャックは久振りであったフィリップを悦んで迎えた訳であるが、フィリップはツェペリン襲撃の際に機体と共に墜落して以来、それ以前の事の記憶を全然失っていたので、友の言葉にもさのみ興が乗らずに居た。が、ジャックはフィリップの今の窮状を知って、どうにかして友を助けたく思い、己の演奏会の日に彼を招待し、バンド中のピアニストが傷いたと偽って、その応急補欠として無理にフィリップを舞台に立たせた。それからジャックは彼の十八番たる例のフィリップ作曲のシムフォニーを演奏した。曲が進むにつれて、フィリップに次第に昔の記憶が蘇って来た。彼の手は自づとピアノの上を走り出した。そして彼は到頭、完全に昔のフィリップ・ウェストンに立ち返った。それを見て妻と娘の喜び。そしてジャック・ペインは己の努力によって人に幸福をもたらした事に無上の満足を覚えたのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジャック・レイモンド
- 原作
- ウィリアム・パロック
- 製作
- ハーバート・ウィルコックス
- 撮影
- O・H・ボロデイル
- 作詞
- レイ・ノーブル
- 作曲
- レイ・ノーブル
- 編曲
- リュー・ストーン
- レイ・ノーブル
- ボッブ・バスビィ