「すごい映画だな、と思う。」M(1931) 星組さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 すごい映画だな、と思う。

2025年8月14日
PCから投稿

1930年代初頭のドイツ映画
100年ほど前とは思えない緻密な映画

物語は
少女連続殺人事件に怯える街
ある殺人鬼の出没から始まる
警察に地下組織も加わり犯人を追う
犯人は街で少女を見ると豹変する
何かに取り憑かれたように変わる。

その変わる瞬間の演技が上手い

犯人役のピーター・ローレは
この作品でデビューした
目の表現に特徴を持ち
数々の作品に登場している

後半、犯人が自分の内面を吐露する場面がある。
まるで舞台劇を見ているような感情をぶつけてくる。

物語はあっけなく終わる
そこは少々残念に思うが
無駄な描写をぜず見せる手腕は凄い。

その監督はフリッツ・ラング
非常に力強い作品を作る人
彼の描く形は影と光そのもの
全てが映画的に迫ってくる。
この映画の演出に耳を澄ませたい。

撮影の殆どは屋内外のセット
驚いたのはそのデザイン性
電話、机、椅子、おもちゃ、
建物まで至る所に古さを感じられず
何を見てもスタイリッシュな物ばかり
当時のドイツという国の水準の高さを見た。

世界最高のレベルだと感じた。

星組