「 その後の香港映画の歴史を変えた記念碑的作品、ぜひご鑑賞ください。」男たちの挽歌 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
その後の香港映画の歴史を変えた記念碑的作品、ぜひご鑑賞ください。
『男たちの挽歌』(1986)
「午前十時の映画祭14」にて4Kリマスターで初の劇場鑑賞。
何といっても本作は邦題が良いですよね。
中国語では「英雄本色」。
英題は「A Better Tomorrow」で「より良い明日を」。
これを「鎮魂歌」「レクイエム」でもなく「挽歌」に決定した当日の配給会社の人は素晴らしいですね。
同年ゲームの世界でもカプコンから『闘いの挽歌』という横スクロールアクションゲームもリリースされて子どもながらに馴染み深いワードでした。
1986年の公開当時は香港映画といえばジャッキー・チェンのカンフー映画かMr.BOO!のコメディ映画の二択のなか、「香港ノワール」と呼ばれるジャンルを創出、確立した記念碑的作品で、派手なアクションもありながら、男の友情と任侠を織り交ぜたストーリーは今回の鑑賞でもまんまと泣かされましたね。
男の悲哀を全身で表現するチョウ・ユンファ、ティ・ロン、レスリー・チャンも出演者も抜群に良いのですが、やはりジョン・ウー監督の冴えわたる演出。
フレンチ・ノワール、東映任侠映画をベースにしながら、銃撃戦はサム・ペキンパー、セルジオ・レオーネの多大なる影響を受けたスローモーションなどの演出は40年近く経っても痺れました。
本作の成功したことで、その後のジョニー・トー監督作品、『インファナル・アフェア』の端緒となったことを考えると感慨深いですね。
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