「ジョン・ウイックと比較するのは気の毒だよ」男たちの挽歌 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョン・ウイックと比較するのは気の毒だよ
日本では昭和の終わり直前1986年の作品。ゴールデン・ハーベストで空手映画を撮っていたジョン・ウーがこれからは銃撃アクションだとカンフーに見切りをつけてつくった作品。カンフーは前半部分でティ・ロンとレスリー・チャンの兄弟がふざけあってる部分ぐらいにしか出てこない。後は基本、銃撃戦。ただ後年のジョン・ウー節ともいうべきアクションの切れ味レベルにはまだなかなか届いていない。西部劇と日本のTVドラマの影響が随所に見受けられる。要するにいろんなところから勉強中の発展途上。
ドラマの方ですが、これは中国任侠映画の伝統的テーマであるところの兄弟ものですね。兄弟のきずなの強さが描かれる。前述の2人の兄弟に加えて、ティ・ロンとチョウ・ユンファのいわば義兄弟のきずなも描かれるので、二重の兄弟ものであるといえる。香港ノワールとかいっても、精神的にはカンフー映画の流れをまだまだ引きずっているんですね。
一つ着目すべき点は結末で、最後に死ぬのが主役のティ・ロンでなくチョウ・ユンファであるところ。ハッピーに生き残るのではなく英雄的、かつ悲劇的最期を遂げるということで新しいタイプのヒーローを演出している、そしてそれが当時、売り出し中だったチョウ・ユンファに当てたというところがニューウェーブだったのかもね。
ジョン・ウイックと比較する評価もあるようだが、時代が全く違うのでそれは気の毒っていうものですよ。
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