人喰人種

解説

アンドレ・ポール・アントワーヌとロベルト・リュジオン両氏が協力して、1927年12月より翌年七月に至るまで太平洋の新エブリイド群島中のマリコロ島に於て、喰人種の群れに伍して、彼等喰人種の日常生活を命懸けでキャメラに収めた記録映画で、彼等原始人の唄を始めとし、言語、音響、伴奏等フランスジェラルドオのプロセスによって録音されている。(音響版)

1930年製作/フランス
原題または英題:Among the Man-Eaters Chez Les Mangeurs D'Hommes

ストーリー

南海マリコロ群島のほとりの夜の海を颶風に弄ばれる一艘の船がある。船は砕けて瘴気をこめた南海の鬼界ヶ島の渚に打ち上げられた。これに乗る二人の若い技師はこの世界の涯まで夢と冒険を狩りに来たのだ。勇敢な一歩を叢林の中に踏み入れて、まづ目のあたりにしたものは捨てられた原住民のキャンプの中に散らばる累々たる髑髏であった。果たして間もなく酋長に率られた人喰原住民の一隊が現われる。やがて二人は原住民達の風俗をキャメラに取めることになる。原住民の集落の生活。それは餘りに原始的であり、あまりに神秘であった。彼等の祭祀、彼等の衣食の奇。彼等の恐ろしい本能。そして彼等を脅かす熱帯の過酷なき風土。盛り上がる本能は噴火のように激発して敵集落を襲う。戦鼓につれてふみ轟かす力足。弱き者はその肉を強き者の白い犬歯に捧ねばならない。勝戦の祭典、それは乱酔と歌舞の旋風となる。天を焦がす篝火を焚いて終夜最も単純な歓喜に狂う原住民等は、仲間に入った白人の肌に誘惑を感じる。予期していた危険が迫る。だがこの大ナンバ族と起居を共にしている間に酋長と結ばれた愛情は彼らの命を救った。酋長の心には人間的な愛が芽ぐんでいた。かくて彼等を送り、これと決別する時、原住民等の表情には哀愁の情が浮かんでいた。

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