一九四〇年

解説

ブリィッシュ・アコースティック会社の録音装置によって製作された英国製発声映画であって「シャーロック・ホームズ」「情熱の海人」等を作った英国著名の監督者モーリス・エルヴェイ氏が監督に当たった。主役を演ずるのは「ピカデリィ」のジェームソンン・トーマス氏とペニタ・ヒューム嬢で他にハンバーストン・ライト氏、ベイシル・ギル氏、ヘンリー・ヴィバート氏等が助演している。(発声版・9巻、無声版・8巻)

1929年製作/イギリス
原題または英題:High Treason

ストーリー

1940年、世界の政治的分野は大西洋を隔てて全欧州連盟と全米連合国との二大勢力に分たれたが或る国境事件が因となってこの二大強国の間に戦雲急を告ぐるに至った。両大陸2億5千万の人類は平和連盟を組織して戦争防止に努めていたがこの平和運動の中心人物は欧州側ではセイモア博士と彼の愛嬢エヴェリンであった。父の秘書役をつとめていた彼女は大西洋航空隊附マイケル・デーン少佐とは相思の間柄であった。しかし開戦問題では愛人同志は主義の上から正反対な立場に立っていた。此の頃国境事件の黒幕であった富豪のシンジケートの一団は戦争促進の第二段の計画に暗中飛躍をしていたが突如海峡トンネルを爆破して全欧州を震駭せしめた。ここに於て急拠全欧会議は開かれ平和か戦争かの重大問題を会議中ロンドンの平和連盟本部は空中より爆弾によって破壊された。セイモア博士はこの災厄にも屈せず平和のため奮闘力戦したが遂いに動員命令は下され女子も男子も武装して開戦準備に着手した。だが一方平和論者側の勢力も侮りがたきものあり欧州会議は和戦両派に分かれて決する所がないので大統領は自己の決定投票を主戦派に与えて深夜ラジオによって宣戦布告する決心をする。セイモア博士は大統領を訪れて開戦の非人道的なことを力説した。エヴェリンも中央飛行場へ駈けつけて女子軍団を説き航空隊が戦場へ出発せんとするのを防ぐべく努力した。セイモア博士の嘆願も大統領の拒絶するところとなりしかも開戦に際して国民への声援と鼓舞とを博士に放送させようとした。だがセイモア博士はマイクロフォンの前に立った時、戦争中止の旨を放送した。この裏切りに怒った大統領は短銃をとって博士に向けたがかえって博士に殺されてしまった。結局平和主唱者側の意見は容れられて戦争は中止となったがセイモア博士は殺人を犯した廉によって拘引された。世界幾百万の人命を救わんがために為した行動ではあったが国法を破ることは出来ない。博士に有罪の宣告は下された。父の無罪のために奔走したエヴェリンはこれを聞いてデーン少佐の腕に泣き崩れてしまった。裁判中一語をも発せなかった博士は同情ある判事の言葉に対して「余は満足なり」と答え一座を声なからしめた。

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