「他の映画とはまた違うおもしろさ」マッチ売りの少女(1928) あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5他の映画とはまた違うおもしろさ

2024年3月14日
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この監督さんの映画は少しは見たが、ここならではのおもしろい表現が見られ、おっ、と思った。
ストーリーは相変わらずの悲しい内容。しかもここでは独特に表現されているので結構印象に残る。

少女を演じた女優さんが大人で、当時28歳? きれいな人で動きは上手と思ったが、マッチ売るより体を売ってしまいそう…などとつい思ってしまう。ちょっと複雑な気持ちにさせる『少女』。大人が楽しむための映画だと思えば割り切れるけれど。

雪の中から徐々に死へ移行していく過程が神秘的だった。おもちゃの世界は少女には楽しい世界。動きがおもしろい。でも少し気持ち悪い。生き物の温もりがない気持ち悪さ。死に近い孤独な世界。超イケメンの軍人さんがおもちゃを動かしてくれる。生きるエネルギーの最後の一滴のように思える。
死は決定的。抵抗を許さず、待たない。それが絶妙に表現される。死神が駆け抜ける映像が一番印象に残った。質感のようなものがすごかった。

あま・おと