嵐の叫び
解説
「悪魔の満潮時」と同じくヴラディスラウ・ヴォヤ氏が書いたものを、アメリカに渡ってから「人生サーカス」を作ったマイケル・カーティズ氏が未だ在墺当時監督製作したもので、「悪魔の満潮時」「ナポレオン」と同じくケルテスのサッシャ作品である。主役は上記二映画と同じくミハエル・ヴァルコニー氏で、氏を助けてメアリー・キッド嬢とリリー・マリシュカ嬢との二人が出演している。無声。
オーストリア
原題または英題:The Child of the Storm
ストーリー
老母と二人暮らしのゲオルクはノラという女を誘惑して子を生ました後に、踊子のキティに迷い込んで老母の貯金や家財を蕩尽してしまった。そして彼はキティと結婚しようと思っていたのであったが、母の臨終の願いによって放埒をやめ、ノラと結婚し、その生児に名を与えてやる事を誓った。その後、ゲオルクは鉄道工事の技師として真面目に働く事となり、妻と少年と一匹のウルフドッグとこれだけで、平和な生活が営まれて行った。が、ある雪のスキー競技大会で計らずもゲオルクはキティに出会った。それ以来ゲオルクは再びキティの誘惑の手に操られる事となって、彼は遂に家と家族とを棄てた。荒れ狂う吹雪の中を、ノラと少年とは離れ離れにゲオルクを探してさまよった。そして二人は遂にゲオルクを未だ見つけるに至らずして冬の中に倒れた。それを救ったのは、忠実なるウルフドッグの働きと、この村の学校教師とであった。一方、ゲオルクは執拗にキティに迫ったが、彼女は固くそれを拒んだ。慙愧と忿怒とに燃えたゲオルクは遂にキティを殺し、吹雪の中を逃れて偶然にもある小屋でノラとめぐり会った。ノラは優しい女心から彼を逃れさせ様としたのであったが、警官はもはやそこに迄も追跡して来ていたのであった。その瞬間、恐ろしい雪崩が襲い来った。ゲオルクも警官もそれに埋れてしまった。それから幾月か経っての後、学校教師とノラとの間には何時か恋の芽生えがあった。二人は少年と共にこの地を去って他の空の下に住家を求めて行った。そこには吹雪も嵐も心を痛ましめるものもなかった。唯、春があったのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- マイケル・カーティス
- 原作
- ヴラディスラウ・ヴォヤ
- 撮影
- ジェラール・ブルジョワ