チラノの接吻

解説

イタリアで近頃売出しのルチオ・ダンブラ映画会社の作品で、社長ダムンラ氏の原作で、カルミネ・ガローネ氏が監督し、氏の夫人ソアヴァ・ガローネ嬢の主演によって撮影された悲劇である。無声。

1913年製作/イタリア
原題または英題:The Kiss of Cyrano Il Bacio di Cirano

ストーリー

グレーシアとロセッタと云う二人の美人は、何れもオペラの作曲家クローディオ・アルシエリと深く交際を重ねて居た。クローディオは二人の中より一人を選んで詩の神ミューズに見立てて、依って以て自作の歌のインスピレーションを得んと望んで居る。そしてグレーシアがその選に当たった。ロセッタは嫉妬の余り深くも之を憤った。グレーシアの父も母も肺病でたおれ弟までも重き病の床に就く。そして彼女も何うやら肺病に感染したらしいので、彼女は此の身で恋が出来ようかと心痛した結果、結婚する事は却ってクローディオを不幸にするものであると観念し、ことさら彼に変想尽かしをして、彼の心がロセッタに移る様に仕向けた。斯る苦しみありとも知らぬクローディオはロセッタを遂に意中の人として迎えた。グレーシアは涙に二人の結婚を祝福する為仮装舞踏会の宴を我が家に開いた。席上グレーシアは恋人の接吻を一度得たいとロセッタに訴え、覆面の白と黒とを取り替えて一生一度の想い出にグレーシアはクローディオから只の一度の接吻を与えられ、果敢ない喜びに涙ぐむ。折から弟の重態を報じて来たので急ぎ我家に帰って見れば、早や弟は亡き数に入って居た。彼女は弟の臨終を思っては心の悩みに堪えられず、昔学んだ修道院にまだうら若い身を運んで、神に仕える尼僧と成ってしまう。

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スタッフ・キャスト

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