除夜の悲劇

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解説

「最後の人」「カリガリ博士」の原作者カール・マイヤー氏が執筆した映画台本によってループ・ピック氏が監督したもので、「蠱惑の街」「エックスプロージョン」等出演のオイゲン・クレッパー氏が主役を勤め、エディット・ポスカ嬢とフリーダ・リヒャルト嬢が共演している。大晦日の騒然たる空気の中に起る悲劇を描いた無字幕映画である。無声。

1923年製作/ドイツ
原題:New Year's Eve Silvester

ストーリー

除夜、聖シルヴェスターの祭りの夜、消えて行く年の最後の日、人は生れ人は死ぬ。悔恨と咏嘆と少しの希望の日、人々は昂奮し町は上気している。どこの料理店も来るべき新年を迎える客で一杯だ。町角のとある酒場--ここの主人は結婚してまだ間もなかった。可愛い妻と子のために仕事にいそしむ彼。幸福そうな彼の住居に今夜は久しぶりで老婆が顔を出した。老婆は良人の母であった。生れてから面倒を見てやって来た我子は今では他の若い女のものになりかけている。姑と嫁との永遠に融け切れない感情。主人は店に出た。残った母と妻との間の不快な空気。表の雑音が聞える。部屋の中に飾られた二つの写真。美しい額に入れられた妻の肖像に引かえて母親の肖像の何というみじめな扱われ方、口火は切られた。姑と嫁は争い始めた。主人は驚いて入って来た。和解の努力も空しく妻は子を抱いて出て行く。表は灯の渦だった。時計は冷たく十二時五分前を指していた。妻と子を失った主人は母に憎悪を感じ出て行ってくれと言おうとしたがどうして云えよう。彼はそこに泣き崩れた。妻は子を抱いて戻って来た。そしてまだ姑が居るのを見ると黙ってはいなかった。良人を中心にまた恐ろしい争いが始まる。その醜さに主人は呆然として次の室に入る。扉に錠が下された。突然耳をつんざくピストルの音。母と妻が漸く室に入った時には主人は冷たい死骸となっていた。その時街の時計は十二時を打った。シャンパンの盃のふれ合う音、爆竹、花火。十二時が過ぎると街は正気に戻ってゆく。人々は散り散りに帰って行く。ひからびた古テープが木枯に悲しんでいる。母と妻とは主人の死体の前で黙っている。ゆり篭の子供は無心に泣いている。古き年は逝き、新しき年は訪れた。しかし来る年も来る年も人間の醜い争いは続けられるのだ。お互いに了解し合わぬ所にはいつも憎い悪が炎のように燃えるのだ。

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