戦慄の七日間のレビュー・感想・評価
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毒を持って毒を制することは本末転倒
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広島、長崎への原爆投下から5年後、英国の核兵器開発を阻止しようと政府を核テロで脅迫する科学者を追った社会派サスペンス。
原爆の開発に最も熱心だったはチャーチルで最初の核兵器開発プロジェクト、チューブ・アロイズ計画を率いていたが資金や物資面での問題もあって米国のマンハッタン計画に引き継がれた。戦後もロスアラモスで原発開発に関わったウィリアム・ペニー博士を中心に英国独自の核兵器開発を進め1952年10月3日西オーストラリア沖のモンテベロ諸島での核実験を行っている。
そんなきな臭い情勢に一石を投じるように本作が創られたのでしょう。奇しくも同じ頃に日本ではゴジラが核の申し子として登場しており感慨深い。
本作はおそらく核テロ映画の先駆けだろう、その後も核テロ映画は多く作られたが大概は反米思想の根っからのテロリストが殆どで中には「トゥルーライズ(1994)」や「トータル・フィアーズ(2002)」のように爆発させてしまった過激な作品もありますね。
本作は科学者の倫理観がベースとは言え実際に爆発を企てるのは度を越している、「ピースメーカー(1997)」でも爆破は教会だったがまるで天罰を下すような宗教観が垣間見える。大義があろうとも毒を持って毒を制することは本末転倒、よって為政者は端から聞く耳もたずに終始するというのもリアルではあるが素っ気ない。娘が情で説得するのではなく首相と科学者が対峙するシチュエーションも見てみたかった。
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