愛のためいき

劇場公開日:

解説

アンドレ・カイヤット、ルイ・サパン、モーリス・オーベルジュの共同脚本を、アンドレ・カイヤットが監督にあたった。結婚した一組の男女が離反し、別居、離婚へと歩んでしまったコースを、男女双方の立場から描き、第一部フランソワズの告白、第二部、ジャン・マルクの告白とに分かれている。撮影はロジェ・フェルー、音楽はルイギが担当した。出演は「傷心」のマリー・ジョゼ・ナット、「エヴァの恋人」のジャック・シャリエ、「ハタリ!」のミシェル・ジラルドン、「昼顔」のマーシャ・メリルほか。製作はレイモン・ボルデリー。

1966年製作/112分/フランス
原題または英題:La Vie Conjugale
配給:東和
劇場公開日:1968年6月15日

ストーリー

十九歳のフランソワズ(M・J・ナット)が二十二歳のジャン・マルク(J・シャリエ)と結ばれたのは、彼の恋人ニコルの送別会の夜が明ける頃だった。彼女は奴隷のように、夫のいいなりになる妻にだけはなりたくなかった。だから、彼がフィレンツェへ旅行する時も、まったくの自分の意志でついていった。二人は同棲生活に入り、弁護士試験の勉強を続けた。だが合格したのはジャン・マルクだけだった。やがてフランソワズの妊娠で二人は結婚。田舎町の少年裁判所の判事になった夫とともに都落ちした。しかし、田舎での生活はフランソワズには堪えられない。自由と独立性のある妻、車や毛皮のコートのあるパリの生活、それが夢だった。ひそかに同級生パトリシアの父で弁護士のルーキエにたのみ、夫の就職工作をし、パリにもどることに成功した。だがジャン・マルクは悪らつなルーキエの仕事ぶりに反対し、やめてしまった。一方、フランソワズは昔の恋人ロジェが勤めている宣伝企画会社に就職し、めきめきと腕をあげていった。多くの男性が彼女をとりまいたが、なかでもイタリアでの仕事の際、知り合ったパルディニ伯爵は、なにかと協力を惜しまなかった。クリスマスが近づき、地味ながら弁護士として独立しているジャン・マルクは親子三人で旅行する計画をたてたが、フランソワズは仕事で行けなくなってしまった。留守中、彼女は、夫の旅行先に電話すると彼はいず、娘は子供ホームにあずけられているのがわかった。というのは大晦日の夜、フランソワズはロジェとナイトクラブに行き、習慣通り新年のキスをしたのだが、ジャン・マルクの昔の恋人ニコルが目撃してしまい、誤解したままを彼に告げてしまったのである。ニコルはジャン・マルクを誘惑した。このことが二人を別居に導いた。六ヵ月後の離婚裁判の日、二人は再会した。どちらともなく寄りあって、互いに相手が身の潔白を誓ったと思い込み和解。思い出の地フィレンツェに旅立った。結婚後七年目だった。ホテルにつくと、パリからジャン・マルクに電報がとどき、仕事で至急もどらねばならなくなった。空港にかけつけたが天候不良で飛行便は全部欠航。しかたなくホテルにもどった。そうとは知らぬフランソワズはパルディニ伯爵のたっての願いをきき入れて彼の城で共に食事をし、豪華な部屋でただ一人、まんじりともせず、ベッドにも入らず夜明けをむかえた。朝、車で城を出ると、伯爵が町までの便乗をたのんだ。車がホテルの前につき、伯爵と形ばかりの別れの接吻をした。ところがベランダから、ジャン・マルクが、この光景をみてしまった。もはや離婚は決定的なものとなった。フランンワズは、いつかジャン・マルクが、自分の潔白をわかってくれるだろうと思っていたが、彼は彼女のことはあきらめて、少年補導の仕事にもどろうと決心するのだった。

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