出口なき犯行

劇場公開日:

解説

「戦場の叫び」の原作『子供と母親と将軍』を書いて名をあげたヘルベルト・ライネッカーの書下し脚本を、ヴェルナー・クリングラーが監督し、モール・V・ヒアミールが撮影監督した。音楽はヴェルナー・アイスブレナー。主演はマルティン・ヘルト、ハーディ・クリューガー、ナジャ・ティラー、ヘルガ・マルティンなどスタッフとともになじみのない人達が多いが、役柄にあった人達が選ばれている。製作者は、ハインツ・ヴィレッグとカルル・ミチュケ。

1957年製作/オーストリア・ドイツ合作
原題または英題:Banktresor 713
配給:東映=映配
劇場公開日:1958年4月29日

ストーリー

ヘルベルト・ブルクハルト(マルティン・ヘルト)は復員以来二年もたつのに職につけない。妻は家出し、三部屋のアパートに、八つの娘と戦後派の弟クラウス(ハーディ・クリューガー)、年老いた母親(ヒルデガード・グレーテ)の四人で細細とくらしている。彼に同情をよせてくれる女性ベラ(ナジャ・ティラー)や母のすすめで、今日も就職にかけまわってみたが、別に特技もない彼には、すぐに職にありつける筈もない。そんな時、ふと彼の目にとまったのは、彼には想像もつかぬ大金がその中で取扱われている銀行の建物だった。一瞬、彼の心に悪魔が魅入った。その夜、ヘルベルトはクラウスに計画をうちあけた。翌日から兄弟は銀行の内部をさぐり、計画を立てることに熱中した。くず篭の中から、銀行の見取図を見つけ出したベラは、不吉な予感をもった。二人の計画は着着と進行した。マンホールから下水道を伝い、銀行に隣接するアパートの地下室に壁を破って侵入、更に銀行の地下室に抜けて、通風機をはずして金庫室に入る。鋼鉄の引出しを焼切れば、中の現金は思いのままだ。必要な道具類も、暗黒街の顔役ハルトマン(シャルル・レニエ)を通じて手に入れた。いよいよ決行の日がきた。二人は下水道にもぐりこんで作業をはじめる。木曜、金曜、土曜。計画通りに壁破りは進行する。金を手に入れて、日曜には空路高飛びだ。だが、二人の奇妙な行動にいたたまれなくなったベラは、ひろった見取図をもって警察に訴え出た。機動警官隊の、市中銀行しらみつぶし捜査がはじまる。知るよしもない二人は地下で作業を続行する。金庫室に通ずる通風機を焼切っている時、ヘルベルトの目に鉄粉がとびこんだ。クラウスは薬局に硼酸水を買いに出た。その彼の後をつけてきたハルトマンが、アパートの地下室で二人に分け前を強要した。殺気立ったヘルベルトは彼を殴り殺してしまった。怖気づいたクラウスは、マンホールをとび出して街にさ迷い出ていってしまう。狂気のようなヘルベルトは、一人で金庫室に侵入、莫大な現金を手に入れた。しかし、三日間の労苦の末に入った宝の部屋は、一旦入ってしまうと、もう彼一人だけの手では高い通風口から出ることの出来ぬ、出口のない部屋なのだった。

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