動物たちは何処へ行く

劇場公開日:

解説

ドイツ、フランクフルト動物園長ベルンハルト・ツィミックが自らの、この映画と同名の著書に従って製作、監督した長篇記録映画。博士は人間と動物の関係の研究で知られているが、この映画ではアフリカのベルギー領コンゴーの動物保護地域を舞台に、その中の動物たちの様々な姿態を捉えながら文明によって侵蝕されて行く動物たちの保護を強く訴えている。脚本はハインツ・クンツェ・ユースト、撮影はベルンハルトの子息ミハエル・ツィミックとヘルベルト・ランダー、音楽はウォルフガング・ツェラーが担当した。一九五六年ベルリン映画祭において国際最優秀記録映画賞、ドイツ連邦最優秀映画賞、記録映画ゴールデン・ベヤ賞を受けている。

1956年製作/ドイツ
原題または英題:Kein platz fur Wilde Tiere
配給:松竹
劇場公開日:1957年7月26日

ストーリー

現在、世界の人口は毎日十万人ずつ増え二十世紀の終りには五十億になるだろう。しかも現在の世界の人口の三分の一は食糧不足で、人間は森林を伐採、食糧を求め土壌を荒している。その間接の責任は、人間と技術の進歩に帰せられる--と動画による説明が続く。そしてカメラは、動物たちにとって最後のパラダイス、アフリカ暗黒大陸へと飛ぶ。だがアフリカでさえもが技術は機械化され原始生態は破壊されつつある。昨日の蛇の棲家は今日のナイトクラブに変るといった工合に文明の足は伸びて行く。だが人間の立入禁止地域は、このアフリカにただ一ヵ所だけある。ベルギー領コンゴーの保護区域がそれである。ここは動物の王国である。自由奔放な動物たちの生活ぶりが展開される。ここにはまた身長一メートル半の天真らんまんの倭人ピグミイ族がいる。彼らの微笑ましい姿が紹介されるが、ここにもまた白人の観光客が訪れ、黒人たちを見世物として興ずる。ピグミイ族にも今や文明の波が容赦なく押寄せる。そして、この動物の楽園は、いつまで続くか? やがて我我の子孫は、これらの素晴しい野獣を剥製と写真でしか見れなくなるだろう。人間が神の創造物であるなら、動物もまた神の創造物である。野獣を保護しよう、動物のために、人間のために。と映画は主張する。

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