劇場公開日 2020年8月3日

  • 予告編を見る

「切なくて忘れられない作品がまた一つ」道(1954) kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0切なくて忘れられない作品がまた一つ

2014年10月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

難しい

幸せ

「出発!」笑顔で大きく体全体で手を振っていたかと思うと、そそくさと荷車に乗り込み、次の瞬間、瞳にはみるみる涙があふれんばかり。冒頭シーン、ジェルソミーナが、母親と幼い兄弟に別れを告げるシーンで既に彼女に引き込まれてしまった。言葉足らずでころころ表情が変わり、いつも寂しさを拭いきれない童子のようなジェルソミーナ。彼女はいつだって真心で人に接していたと思う。だから、彼女が白痴だったとは到底思えない。特にザンパノの前では女房であり、女であることを切望していたジェルソミーナ。それなのに、ザンパノは大切な石ころを手放してしまった。ラストはとても印象的。彼女の好きだった海に、許しを請いにやってきたのだろうか。ザンパノが、しばし天をあおぐシーンがある。私にはジェルソミーナの微笑みが見えた気がした。
この作品、幸運にもレンタル直後にBSで放映されたので手元に残すことができました。『道』には安易には語れないたくさんの思いが交錯し、人の魂にずしんと届く何かがある気がします。タイトルの道とは人の道のことなのか、まだ悶々と考えています。

sonje