「旅の哀愁と人間のサガ」道(1954) 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
旅の哀愁と人間のサガ
まず、昔の旅芸人の旅というだけで趣きがある。そしてそれに人間模様も絡んできて、観終ったときには何とも言えない気持ち。
ジェルソミーナは印象的。この女優の演技は凄い!と思った。子どものようなピュアなかわいい笑顔がすてき。修道院を去るときの涙は、こんなに切なくて美しい涙のシーンって今まで見たことがあったかと思うほど感動した。
ザンパノをあまり責める気にはなれない。彼には生活があったのだ。彼の生い立ちにもいろんなことがあったと思う、彼は彼なりに現実的に一生懸命生きているだけなのだから。
心に余裕のないザンパノを、イル•マットはからかった。障害者を巡ってのこの映画のスタンスは、イル•マットの言動に集約され象徴されていると思った。
最後のシーンでザンパノは、もしかしたら海に入っていくのでは、と思ったが、そうはならなかった。
でも、それでいいのだ、とも。彼のその後の人生が変わっていきさえすればいいのだから。
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