紅薔薇は山に散る
劇場公開日:1954年5月15日
解説
今世紀の初頭、イタリアに実在した山賊ムゾリーノの伝記的映画で、「アンナ」のカルロ・ポンティとディノ・デ・ラウレンティスが共同製作した一九五〇年作品。ステノ、モニチェッリ、レオンヴィオラの原案をフランコ・ブルザーティ、マリオ・カメリーニ、デ・コンチーニ、レオンヴィオラ、モニチェッリ、イーヴォ・ペリッリ、ステノ、ヴィンセンツォ・タラリコの八人が協力して脚色、「ナポリのそよ風」のマリオ・カメリーニが監督した。撮影は「ヨーロッパ一九五一年」のアルド・トンティ、音楽は「噴火山の女」のエンツォ・マゼッティである。「アンナ」のシルヴァーナ・マンガーノと「懐かしの日々」のアメディオ・ナザーリが主演し、この映画でイタリアの銀リボン賞を得たウンベルト・スパダーロ(「女の獄舎」)ほか、イニァツィオ・バルサーモ、グイド・チェラーノ、ロッコ・ディ・アッスンタなどが出演している。
1950年製作/イタリア
原題または英題:Il Brigante Musolino
配給:イタリフィルム=松竹
劇場公開日:1954年5月15日
ストーリー
南イタリアの山岳地帯、カラーブリア地方の一寒村に住むベッペ・ムゾリーノ(アメディオ・ナザーリ)は正義を愛し、この地方にはびこる暴力団マフィアに烈しい敵意を抱いていた。山麓の旅篭屋の娘マーラ(シルヴァーナ・マンガーノ)は彼を愛していたが、その父は娘をマフィア団の首領ソレミとめ合せようと目論んでいた。聖コジモの祭礼の日、ムゾリーノはマーラのことからソレミと争い、警察部長のとりなしで危うく事なきをえた。その日の午後、旅篭屋でソレミが何者かの手で殺害され、ムゾリーノが容疑者として告訴された。裁判は、マフィア団の暴力を恐れる村人たちの偽証により、すべてはムゾリーノにとって不利に展開し、マーラがしたアリバイの証言も彼女がムゾリーノの恋人であるのを理由に却下された。かくて、ムゾリーノは無実の罪を負って三十一年の刑を宣告された。激怒に燃えたムゾリーノは、一年後脱獄に成功、復讐の鬼となって裁判の際偽証したものをつぎつぎに斃した。まず雨乞いの行列で鐘つき男ロッコが射殺された。警官隊に追われたムゾリーノはマーラとともに山岳地帯にのがれ、ついでマルコという男を殺した。村の結婚披露の宴もムゾリーノの出現で妨げられた。彼は宴会場から医師(U・スパダーロ)を拉致し、山中に連れてきた。マーラが病気になっていたのだ。マーラは妊娠と診断され、かつて偽証した医者は前非を悔いて二人を外国へ逃がすため、金を渡そうと申し出た。しかし、翌朝、金を持ってムゾリーノと約束の場所へ向かった医者は何者かの手で殺され、神に祈りを捧げて教会から出てきたムゾリーノとマーラも狙撃され、マーラが倒れた。撃ったのは、マフィア団の首領たらんとしてかつてソレミを殺したスケピジという男だった。すべてを知ったムゾリーノは激憤してスケピジに迫り、岩頭での烈しい格闘の末、これを殺したが、マーラを失ってはすでに生きる望みもなく、彼女のなきがらとともに自首して出た。