劇場公開日 2022年8月7日

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サン・スーシの女のレビュー・感想・評価

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3.5幼い頃の恩人の復讐

2024年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ロミーシュナイダー扮するリナは、ミッシェルピッコリ 扮する人権擁護委員会代表マックスバウムシュタインとともに過ごしていた。しかしマックスはエルザとミッシェルを知っているかと尋ねドイツ人パラグアイ大使を射殺した。
ユダヤ人のナチに対する幼い頃の恩人の復讐だったね。それと歌唱も素晴らしかったロミーシュナイダーの遺作だそうな。

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重

3.5面白かったです

2022年11月26日
PCから投稿

ロミー・シュナイダーの遺作とのこと。

普通に面白かった。

映画で彼女の美しいものとしてロミー・シュナイダーの顔のアップが
何度もうつされるのですが、若い頃の輝くような美貌とくらべてしまい、
老けたと感じてしまいました。申し訳ないです。
彼女の悲しむ場面など胸に迫り、美しいと思いました。

遺作と聞いて見たのですが、こんなに喪失感でボロボロになる役を演じたら
心が壊れてしまわないのかと悲しくなりました。

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はなはなとみんみ

3.5素直におもしろかった

2022年11月6日
iPhoneアプリから投稿

物語の形式がよい
徐々に明らかになる過去

それとマイケルの奥さんとエイザが
一人二役ってのが何だか新しい演出だった

ロミーシュナイダーの遺作なんですって
どこか儚げな雰囲気がありました
割と多くのシーンで泣いていたし
感情が読めないところもあったりして
でもとにかく美しく包容力があった

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JYARI

4.5ありがとう❣️

2022年9月27日
iPhoneアプリから投稿

ロミーの色気ムンムンでしたが、時代の背景が辛くて
最後泣いちゃいました。ナチス、なぜ?存在したの。
梅田ロフトの映画館、若い時よく行きました。最後の作品に選んだ映画、忘れません。

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ミヤミヤミヤ

5.0歴史は繰り返され、本作は制作当時には思いもよらない四重構造になっていたのです

2022年9月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1982年公開、フランス西ドイツ合作作品
ベルリンロケも少しありますが、殆どのシーンはパリが舞台でフランス語で演じられます

名女優ロミー・シュナイダーの遺作
本作公開はフランスで1982年4月14日
その1ヵ月後の5月29日に心臓発作でお亡くなりになっています
44歳でした

物語は1982年の現代と、1933年から1935年にかけての戦前の二つパートが入り混じりながら進行します

冒頭、渋滞に巻き込まれて遅れたのか、シャルル・ド・ゴール国際空港の国際線到着口に大慌てで駆け込む女
それがロミー・シュナイダーの演じる女性リノです

なんとか落ち合うのはマックスという老人
年の頃は60歳くらい
1933年時点で12歳なので1921年生まれだから61歳と後で分かります

リノの年齢は分かりませんが40歳くらいの設定でしょう
親子ほどの年の差です
娘かと思ったら、どうも男女の仲のようです
年の差が大きいので不倫関係にも見えますが、どうやら夫婦のようです
それも新婚のように二人の愛は燃え盛っているようです

マックスはもう頭が禿げかかって周囲に残る髪も白髪混じり
小太りで冴えない老人です
右脚が不自由で杖をついています
結構良い身なりをしています
そしてユダヤ人であると後で分かります

世界人権擁護委員会の創設者にして代表
真っ当な活動内容で、世界を股にかけて活躍しているようです
経済的にも保険会社を経営していて裕福そうです
記者会見では頭の良さが見てとれます

次のシーンはパリの五つ星のホテル、プリンスドガルの部屋でマックスが風呂に入っています
そこに何かの資料が届きます
そこにあった写真を見て彼の顔色が変わります
慌てて服を着て「外出する」と言い出すのです
出掛けた先はムーランルージュの風車が見える繁華街ですからモンマルトルのピガールです
東京でいえば新宿歌舞伎町
戦争前、そこにあった馴染みのキャバレーを探しているようです
後で分かりますが「ラジャ」という店を探していたのでしょう
その店はもうなくなっていて、結局すぐそばのロシアレストランに入ります
そこで彼は店のヴァイオリン弾きに
「亡命の歌」をリクエストするのです
それの音色を聴いている内に彼の表情には決意らしきものが現れているのです

翌日、いきなりマックスが殺人事件を起こします

そしてその裁判シーンとなり、なぜマックスが殺人を犯したのかが説明されていくのです

その動機は50年前、彼がまだ12歳であった1933年ベルリンから語られます
そして1935年のパリで起きた事件で締めくくられます

サンスーシの女はその過去パートで登場します
名前はエルザ
ロミー・シュナイダーの一人二役です

ベルリンの印刷所を経営するミッシェルの妻

原題は「過ぎ去りしサンスーシ」
邦題の方が遥かに優れています

サンスーシとは、その当時から劇中で現在もパリにあるカフェの店名です
場所は地下鉄バラール駅の出口を上がったすぐ横

1933年当時は、ドイツから逃げて来た亡命ユダヤ人の溜まり場になっていたようです
同時にパリに於ける反ナチ団体のアジトであったようです

ミッシェルが釈放されたのは、ドイツ大使館のナチがその場所を彼を泳がせて知ることが本当の目的だったのです

サンスーシの意味は、フランス語で「心配無用」
パリでもナチが亡命ユダヤ人の命をつけ狙っているからそんな店名なのでしょう

もちろんドイツのポツダムにある有名なサンスーシ宮殿にかけてあるのだと思います

サンスーシの女、エルザを演じるロミー・シュナイダーの美しいこと!
大人の女の魅力が満ち溢れています
若い女とは違う次元の美しさです

細いです、グラマーではありません
胸も小さいし、腰も張ってはいません
けれど女性らしい曲線があります
そして小柄、確かに中年ではあるけれど全体の印象はキュートなのです

パリに逃げて来たばかりの頃に住んでいた一流ホテルでのクリスマスディナーでのシーンの盛装した彼女の姿は息をのむ美しさです

自立した大人の女で、意志の強さが細い弓形の眉に現れています

そして愛情の深い女なのです

12歳のマックス少年は彼女を憧れの目で見ています
性の目覚めの年の頃です

彼女がオバサンとしか見えないなら、心から美しいと思えないなら
あなたには本作はまだ合わないと思います
いつの日にか、なんと美しい女性なんだろう!と感嘆するようになったとき改めて本作を観るべきだと思います

かくいう自分もようやく大人になれたんだなあと思いました

裁判の証人に立つ77歳になったエルザのキャバレーでの同僚で女友達のモーパ
ユダヤ人らしい赤毛は真っ白になりはてています

ミッシェルを収容所から釈放させるためには、二人の男を手玉にとり必要なら体も与え、反ファシズムにも共産主義にも何の関心もなくても共産党の集会に出掛けて支援を呼びかける
その知恵とその勇気をつけて、エルザを応援したのは彼女なのです

彼女の証言の中で触れられるサンスーシのエルザとミッシェルの銘板はラストシーンでチラリと店先の壁に写ります

法廷から退出していくとき被告人席のマックスに彼女が声をかけます
「よくやった」
そのとき涙が溢れました

エンドロールのなかで流れる主題歌が心に沁みます
しばらく泣きました

歌はタリラという歌手
「亡命の歌」という曲です

その歌は、今まで観て来た本作の内容のことを歌っています
それでいて1982年当時のまだ冷戦真っ最中のソ連時代のロシアからの亡命者やユダヤ難民のことを歌ってもいるのです

今日は2022年9月24日
本作公開から40周年
それで劇場公開もされたようです

そしてロシアのウクライナ侵攻から7ヵ月目の日です
プーチン大統領は遂にロシア全土に動員令を限定的ながら発令しました
多くの人々がロシアから脱出しようとしています
その光景と歌詞が妙にリンクしています
まるで今年の映画のように

溢れでた涙の半分はそれが原因だったと思います

また歴史は繰り返され、本作は制作当時には思いもよらない四重構造になっていたのです

戦前、1982年の劇中のこと、1982年の現実のソ連からの亡命者のことの三重構造

そしてそれに加えて2022年のウクライナの国外へ避難した人々、軍隊への動員から逃れようとロシアから脱出した人々のことです

歌詞はこうです
移民とは、ユダヤ難民のこと
戦争からの避難民の意味と思って下さい

「甘くて忘れられない
古いユダヤの歌

子供の頃に
ヴァイオリンで弾いていた
そのメロディを聴き
両親は涙したものだ
これは亡命者の物語
移民の人生

村の虐殺を逃れた人々は皆
悲しみの旅に出る

ワルシャワ、ベルリン、ロシアから逃げた
パリで自由に生きるため

サンスーシの前であのひとは殺された
叫びのあとに訪れた無関心
そして忘却のうちに
すべてが繰り返される

甘くて忘れられない
この懐かしい歌
子供の頃に
ヴァイオリンで弾いていた
そのメロディを聴き
両親は涙したものだ

これは亡命者の物語
移民の人生

僕の目の前には
エルザ
君の美しい面影

最後の旅に出る前に
くちずさんでいた
僕が子供の頃に弾いていた
追憶と涙と後悔のあの歌を」

無法な侵略に国外へ逃れ避難民となるウクライナの人々
ブチャやイジュームで無惨に虐殺されたウクライナの人々

そして戦争反対と叫んで逮捕され、強制的に徴兵され戦場に送られるロシアの人々
徴兵から逃れようとなんとか国境を越えようとするロシアの人々

この光景を歌っているように聞こえませんか?

ラストのサンスーシの店内での握手シーンの直前で流れるテロップの暗澹たる思い

裁判所の外でリノを罵倒するネオナチ
まるでウクライナのロシア占領地での親露派の振る舞いのようです

歴史は繰り返されてしまったようです

名作です
もっと高く評価されるべき映画です
フランス映画らしさが溢れています

蛇足
ロミー・シュナイダーの心臓発作もなにやら本作に関係あるように思えてしまいます
劇中の二人組のネオナチの左の役者はジャン・レノでした
本作が映画初出演だったそうです

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あき240