劇場公開日 1980年3月2日

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3.5貧しい漁村をリアリズムで描いたポルトガル映画の佳作

2021年7月10日
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鑑賞方法:映画館

兵役中に婚約者を実兄に取られ、それでもなお彼女に想いを寄せるアデリーノが主人公の、素朴な愛をテーマにしたポルトガル映画。ローシャ監督の演出は前作以上の冷静で確かなものを感じさせる。特にクラドロという貧しい漁村をドキュメンタリー手法で撮影した荒々しいタッチは、そのまま海に生きる人々の生活感を漂わす。当時の農林大臣が、あまりにも貧しい漁師の生活の表現にクレームを付けたというエピソードも頷けなくもない。このリアリズム表現は、ヴィスコンティの「揺れる大地」を想起させる。後半は、アルベルチアという自由な生活信条を持つ若い女性が現れ、恋の虚しさにいたアデリーノに新しい活力を注いでいく。丁寧で落ち着いた作者の視点は、寡黙で取り立てて主張はしないが、その語りの肌触りが充分伝わってくる佳作だった。   1980年 4月25日  岩波ホール

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Gustav