ティックスのレビュー・感想・評価
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『往年の古き佳きモンスター・パニック』
自宅にて鑑賞。カリフォルニアの人里離れた山あいで行われる更生を目的とした合宿、その名も“自然キャンプ”。'93年7月18日一行が到着、おりしもそこではマリファナ栽培が行われており、薬剤(ステロイド)による環境破壊に突然変異、大群で急襲する巨大化したダニに悪党供と90分未満の尺ながら、定番中の定番がギュッと詰まっている。欲を云えば、子供達のヒエラルキーがしっかり形成されていない事と終盤、ロッジに籠城してからのモタつく展開だが、往年の古き佳き雰囲気が漂う紋切り型のモンスター・パニックに仕上がっている。70/100点。
・特殊効果は見劣りしない程度に頑張っていたが、劇中、猛威を振るう生物は顎体部からマダニ(森林ダニ)の一種との説明がなされていた。繭の様な卵の様なのの中で蠢く様は、ジズル感溢れる効果音と相俟ってよく出来ており、ちょこまか走り回る姿は生命感に溢れ、愛らしささえ感じた。理屈は兎も角、炎を近付附けると判り易く弾ける様に飛び散る生態をしており、クライマックスに登場するラスボスは、ダニと云うよりアリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)に近い形状をしていた。
・脱出する際、二階の窓と横附けした車との高低の距離感が判らなかったり、何の言及もされず突如、爆発するロッジ等、細かい綻びや首を傾げる様な展開はあったものの、このテのには附き物と云え、総合的に振り返ると鑑賞中、頭に残り続ける程の激しい違和感を憶える点は無く、許容範囲内に収まっていた様に思う。
・科白廻しがいちいち仰々しい“ダレル・"パニック"・ラムレー”のA.リベロ。役名からして日系の設定と思われる“ケリー・ミシモト”のD.デイリット、上目遣いの表情がなかなか佳かった。サマーキャンプを引率している“ホリー・ランバート”のR.アレンと“チャールズ・ダンソン”のP.スコラーリの二人、陽が暮れると子供達を放置した儘、ベッドでイチャつく暴挙に出る。定石とは云え、罪の無いいたいけな“ブルータス”が不憫で可哀想に思えた。
・“パーカー”保安官を演じるランス・ハワードの次男は、冒頭から登場する“ジャーヴィス・タナー”役のクリント・ハワードであり、本作にて各々が不気味な醜態を晒すと云う父子共演を果たした。尚、ランスの長男は役者として芽が出ずもその後転身し、今や押しも押されぬ監督となったロン・ハワードである。
・撮影はカリフォルニア州でロケが行われ、('92年6月18日~'92年7月16日との記録が残されている)約五週間でほぼ全てを撮り終えたと云う。当初、D.ゲイルのキャスティングが予定されていたが、製作中であったものの撮影が始まる約一年前の'91年4月18日、帰らぬ人となってしまい、叶わなかった。
・鑑賞日:2019年2月12日(火)
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