ロレンツォのオイル 命の詩

劇場公開日:1993年5月15日

解説

副腎白質ジストロフィー(ALD)という不治の病に冒された息子を救うため、奮闘する両親の姿を描く実話をもとにした人間ドラマ。監督・製作・脚本は「イーストウィックの魔女たち」のジョージ・ミラー。共同製作は「君といた丘」のダグ・ミッチェル。エグゼクティヴ・プロデューサーはアーノルド・バーク。共同脚本は、オーストラリアで俳優・作家・劇作家として活躍するニック・エンライト。撮影はジョン・シールが担当。主演は「サウス・キャロライナ 愛と追憶の彼方」のニック・ノルティ、「テルマ&ルイーズ」のスーザン・サランドン、「死海殺人事件」のピーター・ユスチノフ。

1992年製作/アメリカ
原題または英題:Lorenzo's Oil
配給:ユニヴァーサル映画=UIP
劇場公開日:1993年5月15日

あらすじ

1983年、美しい島国であるアフリカのコモロ共和国で暮らしていた小学校1年生のロレンツォ(ザック・オマリー・グリーンバーグ)は、銀行員の父オーグスト・オドーネ(ニック・ノルティ)の転勤で、母ミケーラ(スーザン・サランドン)とともにアメリカへ移り住んだ。3カ月後、学校や家で理由もなく乱暴をするなどの奇行が目立ち始めたロレンツォを案じたオドーネ夫妻は、ワシントン小児病院で、ロレンツォが副腎ジストロフィーという不治の難病に冒されていることを知る。夫妻は食療法の権威ニコライス教授(ピーター・ユスチノフ)の指導や、免疫抑制剤による治療も効果が上がらず、ロレンツォの病状は悪化していった。ある日、ALD患者家族の会に出席した夫妻は、医師にすべてをゆだね、半ばあきらめの境地にある親たちの姿に失望し、自分たちで治療法を見つけようと無謀な挑戦を決意した。2人はロレンツォの世話はミケーラの妹ディードレ(キャスリーン・ウィルホイト)に任せて、図書館に通いつめた。1カ月後、ミケーラは小さな論文から病気解明の糸口を見つけた。自力で資金を集めて開催した初の国際シンポジウムに、この研究成果をはかったところ、オリーブ油から検出されるオレイン酸が、有害な脂肪酸を抑える可能性が出てきた。夫妻は早速ロレンツォにオレイン酸を投与した。薬の効果はすぐに現れ、喜んだ2人はこのことを公表しようとするが、一時的な効果でしかなく、ロレンツォの発作は日を追って激しくなっていった。発病から1年が過ぎ、脂肪酸のからくりを解明したオーグストは、菜種油の一成分である、エルカ酸をロレンツォに投与したいと提言、ロンドンの製薬会社に勤めるサタビー老博士の協力を得る。いまでは植物人間と化したロレンツォを、コモロ共和国からやって来た友達のオモウリ青年(マドゥーカ・ステディ)がはげまし、勇気づけた。ついに純粋なエルカ酸抽出に成功し、ロレンツォに投与を始めて3カ月後、彼の脂肪酸は始めて正常値を示した。それからの回復は目覚ましかった。彼はある日、ついにまばたきで意志表示し始めたのだった。それから数年、14歳になったロレンツォは沈黙の世界から脱出し、新たな医学の進歩を待ち続けるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第50回 ゴールデングローブ賞(1993年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) スーザン・サランドン
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映画レビュー

5.0至極の感動作

2025年7月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:その他

泣ける

幸せ

癒される

本作は私の映画人生において、最高の映画No.1です。
その評価は、鑑賞して長年の時を経ても変わっていません。

私は親の影響で、映画に触れること鑑賞することを、習慣のように好んでいました。
当時はエンターテイメントの王道のようなアクションやコメディに心躍らせていましたが、ふとした時期に、「他(アクションやコメディ以外)の映画も観てみようかな」と思い、レンタルビデオ屋さんで選んだ作品が「ロレンツォのオイル」でした。

ノンフィクションや社会派のような物語の映画には触れることがなかったため、「実話」「感動できるかも」……との気持ちでレンタルしたと思います。
それに私の中では主演夫婦役のニック・ノルティさんが、当時48時間のイメージが有り、その事も鑑賞するきっかけだったと思います。なんだかんだ未経験領域のテーマなので、ポリスアクションで知っていた俳優さんが主演していることで、妙な安心感が欲しかったのかも。

いざ鑑賞。
痛み、感涙、幸福を芯に感じ、人生初の号泣と感動の余韻を味わいました。
ニック・ノルティさんとスーザン・サランドンさんの心震える演技に、痛みと苦しみと必死な思いを痛感しました。
息子役、看護師役、医者、その他キャスト、全ての演技に一喜一憂し心乱されまくり(いい意味で)。
息子の悲痛な痛みの表現や、それに必死に向き合う両親の焦りや憤り。
当時「不治の病」だったため、冷静すぎる看護師や医者等の家族を取り巻く環境。
すべての映像に心が動かされました。

夫婦があらゆる障害や倫理観に立ち向かい、必死に、ただただ必死に「不治の病」に立ち向かい、治療法を得る。

その行為には、あまりにも誤った行為が伴ったかもしれない。
が、結果論かもしれないが人をあやめたり、犯罪者になってまで「非道行為」をしたわけではなく、その現状で納得のいかない世の中の「融通のきかない常識」に無我夢中で立ち向かったその姿勢は、新たな時代を切り開く先駆者そのものの姿だと思います。

私はこの作品に初めての「感動」を覚えたせいで、自分にとって人生最高の映画なのかもしれません。
真実は異なる可能性もあると思います。
あまりにも心が揺らぐシーンが多いため、エンタメ性を盛り込んでいるかもしれません。
でも、物語としてもそのテーマと結末への構成が素晴らしい作品だと思います。このご夫婦の世の中に対する貢献と救いの偉大さは、変わらないと思うから。

もし鑑賞する機会があれば、ぜひ観てほしいと思う、私の生涯でイチオシの作品です。

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HGPomera

4.0勇者、賢者、聖者、そして物語。

2024年6月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

お涙頂戴する暇のない、ハラハラドキドキの見事なドラマでした。

苦難に立ち向かう勇者、
近くにいる賢者、
やがて出会う聖者。

フュリオサ、アラビアンナイト、ベイブなど、
ジョージミラー製作脚本監督作品に一貫する強い信念が、
堂々と万人向けの物語として
結晶作用、まさに圧巻でした。

違う見方をすれば、主人公は正しくないようにみえる。
そんなことを考えさせる余地がありました。

俳優もカメラもやっぱりいいです。

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青樹礼門

4.0元医者が監督した〘副腎白質ジストロフィー(ALD)という不治の病に...

2024年6月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

元医者が監督した〘副腎白質ジストロフィー(ALD)という不治の病に冒された息子を救うため、奮闘する両親の姿を描く実話をもとにしたヒューマン医療ドラマ。〙

2024年公開で大泉洋主演の実話ベースのヒューマン医療ドラマ『ディア・ファミリー』に通じる?〘世界で17万人の命を救った、大動脈内バルーンパンピング(IABP)カテーテルの誕生にまつわる実話を映画化。〙

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ナイン・わんわん

4.0凄まじい執念…

2022年2月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
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KEI