忘れがたみ
解説
「愛と光」「恋の挽歌」のジョン・M・スタールが監督・製作した映画で、「ステージ・ドア」「オーケストラの少女」のアドルフ・マンジュウ、「大自然の凱歌」「ステージ・ドア」のアンドリア・リーズ、ルディー・ヴァレーのラジオ放送に常に一座しておた腹話術師エドガー・バーゲンと彼の人形チャーリー・マッカーシー、「スイングの女王」「明朗色時代」のジョージ・マーフィーが主なる役を演じる。バーニス・ブーン執筆のストーリーを「科学者の道」「風雲児アドヴァース」のシェリダン・ギブニーがレナード・スピーゲルガスと協力脚色したもので、撮影は「大地」「恋の挽歌」のカール・フロイントの担当である。助演者は舞台女優から転向したリタ・ジョンスン、「黒の秘密」のアン・シェリダン、「明朗色時代」のアーネスト・コサート、「ステージ・ドア」のイヴ・アーデン等である。
1938年製作/アメリカ
原題または英題:Letter of Introducation
ストーリー
大晦日の夜、女優志願のケイは、腹話術師のバーゲンと下宿へ帰ると、彼らの宿は火事を起していた。バーゲンは人形のマッカーシーを持出したが、ケイは火の中を部屋へ駆込んで煙に包まれたとき。隣家にいる芸人のバリーが彼女を救い出した。ケイが危険を冒して取出したのは、映画の名優ジョン・マナリングに宛てた紹介状だった。ケイとバーゲンはバリーやハニーやコーラと同宿することになった。ケイとバリーが次第に結ばれて行くのをバーゲンとハニーは淋しい気持で見ていた。マナリングは女について芳しくない噂の持ち主出ある。バリーはケイが彼の許へ行くのを心配していたけれど、なぜか彼女は希望に輝いてマナリングを訪れた。ケイの持参した紹介状を見た彼は、この若く美しい娘が離別した先妻との間に生まれた娘であるのを知った。母は死の床で娘にこの手紙を与え、父を頼るように言い残したのである。父と子は暖い肉親の愛に強く惹きつけられ、マナリングは娘の世話を見ようと申出たが、ケイは父の名声を傷つけることを恐れ、2人の間は秘密にすると誓った。けれどもこのためにマナリングの婚約者リディも、ケイを愛するバリーも2人の間を誤解して嫉妬した。そしてリディアはマナリングの許を去り、バーゲンがマナリングの紹介で弱々しく人形のマッカシーを使って売出した頃には、バリーもハニーと共に旅興業へ出発した。ケイは愛する人を失っても、父のためにその悲しさを堪え忍んだ。ケイの素質が認められて、興業主からマナリングの相手役として舞台に立つことを勧められた時、父は娘の将来を考えて長い間離れていた舞台に立つ決心をした。劇団の名門の血をひく父と子には、この時舞台だけが彼らの希望であったけれど、初日の幕が開くとマナリングは心の悩みをまぎらす酒のために舞台に倒れ、ケイの華々しい門出は瞬時にして失敗に終った。深い悔い巷の群衆にまぎれたマナリングは、故意か偶然か疾走する自動車にひかれて重傷を負い、死ぬ前に2人の秘密を新聞記者に告白しようとしたが、その間もなく娘と召使のアンドルースに守られてこの世を去った。秘密を知る者はこの2人だけだった。彼らは名優マナリングのために生涯この秘密を胸に秘めようと思い、ケイは劇団を退いて欧州の旅へ立つことになった。そこには彼女を忘れかねたバリーが待っていた。母が死際に残したあの紹介状を、ケイは初めてバリーに示し、そしてそれをこなごなに引きさいた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・M・スタール
- 脚色
- シェリダン・ギブニー
- レナード・スピゲルガス
- 原作
- バーニス・ブーン
- 製作
- ジョン・M・スタール
- 撮影
- カール・フロイント