ワイオミングの男
解説
「テキサス無宿」「七日間の休暇」と同じくゲイリー・クーパー 氏の主演する映画で原作はジョセフ・モンキュア・マーチ氏とルウ・リプトン氏の筆になったもの、それを「レヴュー結婚」のジョン・V・A・ウィーヴァー氏とアルバート・シェルビー・ル・ヴィノ氏とが脚色し「続フーマンチュー博士」「摩天楼の巨人」のローランド・V・リー氏が監督した。主演者を援けて「愛の医者」「ロマンスの河」ジューン・コリアー嬢、「愛の医者」「男の正体」のモーガン・ファーレイ氏、「青春の幻想」「アリバイ」のレジス・トゥーミー氏、E・H・カルヴァートト氏、メアリー・フォイ嬢、エドワード・ディーリング氏等が出演している。キャメラは「フーマンチュー博士の秘密」「悪魔の日曜日」のハリー・フィッシュベック氏が担任である。
1930年製作/アメリカ
原題または英題:A Man From Wyoming
ストーリー
ワイオミング州で橋梁工事に従事していた土木技師ジム・ベイカ-は米国が世界大戦に参加すると同時に同僚のジャーシーと共に軍籍の人となった。そしてジムは工兵大尉としてジャーシーは中尉として出征した。パトリシア・ハンターという娘も伯父に当たるハンター少将から命ぜられて米国を後に戦地の病院に看護婦として務めていたが、元来が大家の娘だけに我侭が強く病院生活に退屈して戦線にさまよい出た。彼女は敵からたちまち発見されて弾丸の雨を浴びせられ危い所をジムに助けられた。そしてジムの中隊が交替の命令をうけた時、共に後方へ行軍させられた。彼女はこの間中ジムから邪険に取り扱われるが中々ヘコたれない。その辛抱強さにジムは好意を持つようになった。ジムの男らしさに惹きつけられたパトリシアの愛の表白に2人の恋情は激しいものとなり、軍規を犯して彼等は秘かに結婚するに至った。戦線から程近い休息地、フランスの一小村に幸福な日がすぎていった。パトリシアは愛する男のためにすべてのものを投げ捨てた。だがそれも3日で終わった。再び出発の命がジムに下って彼はパトリシアに惜しい別れを告げて去った。パトリシアが根拠地へ帰った時妄りに職務を離れたかどで彼女は軍法会議に回される。伯父少将の力で罪をうけずに済んだが彼女はその時新聞にジムの戦死が報道されていることを発見した。これは誤報であったがそうと知らないパトリシアはすっかり失望して病院の職も辞してニースに赴いた。そしてそこの別荘を開放して傷病兵を招き饗宴を催した。こうしてパトリシアはジムを失った悲嘆を忘れ去ろうとしたのであった。ところが一命を取り留めて同じくニースへ送られたジムは同僚ジャーシーから彼女の噂を聞き別荘を訪れた。だが別荘の乱痴気騒ぎを見たジムは彼女を誤解しそのことばに耳をかそうともしなかった。彼はパトリシアを促してワイオミングへ帰って暮らそうと言うがパトリシアは彼の僅かな収入と自分の巨大な財産を比較して一笑に付してしまう。恋を失ったジムには生きている張り合いがなくなった。彼は傷を癒えたものの如く装って再び戦地へ帰って行った。彼が去った後でパトリシアは自分がジムを愛していることを知り彼の跡を追った。間もなく休戦が布告された時ジムはかつて2人が結婚した土地にパトリシアの姿を発見した。彼女はジムとワイオミングへ行く決心で彼を待っていたのだった。