恋愛行進曲
解説
「アビーの白薔薇」と同じくチャールズ・バディー・ロジャース氏とナンシー・キャロル嬢とが主役を演ずる映画で、助演者は映画初出演の舞台俳優ハリー・グリーン氏を筆頭に、「艦隊入港」のジャック・オーキー氏、「暴力団(1928)」のスキーツ・ギャラガー氏等舞台経験あるもののみである。エルシー・ジャニス女史とジーン・マーキー氏の原作を「赤い髪」「試験結婚」をアダプトしたパーシー・ヒース氏が脚色し、舞台監督のジョン・クロムウェル氏が「娘十八夜遊び時代」「姿は偽らず」のエドワード・スーザランド氏と共同監督したもので、「忘れられた顔(1928)」「ボー・ジェスト(1927)」のJ・ロイ・ハント氏が撮影した。オール・トーキーとして製作されたものであるが我国ではパート・トーキーとサイレントとして提供される。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:Close Harmony
ストーリー
アル・ウェスト青年は音楽好きの仲間を集めてジャズ・バンドを組織し、舞台に立つ日を夢みながら毎晩下宿屋で自ら指揮棒を執って練習を続けていた。ある晩のこと夢中になって夜の更けるのも知らないでいて到頭とう下宿の主婦と口論を始めているところへ通りがかった美人の仲裁でアルは楽器類を手離さずに済んだ。この美人というのはバビロン座の花形ダンサーのマージョリー・マーウィンで、彼女はアルに35ドルを貸してくれたばかりでなく、アル・ウェスト・ジャズ・バンドがバビロン座で舞台演奏ができるように尽力した。バビロン座主のマックス・ミンデルはユダヤ人の常として金儲けには抜け目はなかったが根は善人でマージョリーに少なからず御思召があったので彼女の申し出を早速採用してアル・ウェスト・ジャズ・バンドに試験的に舞台演奏をやらせた。アルは奇抜な演出効果を以て大喝采を博したのでマージョリーの入智恵で週給1000ドルを要求した。ところが運悪くもマックスのところへバーニー、ベーイという二人組のジャズ唄うたいが出演するという電報が来たので、アルは1000ドルどころか一週間のトライアルが済めば首になるという破目になった。マージョリーは恋人を救うにはバーニーとベーイとを仲違いさせマックスに出演拒絶をさせるに如かずと考え、色仕掛けで成功したがアルは正々堂々と1000ドルが貰えるのでなければ承知しないと言い張った。そこでマージョリーはバーニーとベーイを仲直りさせてバビロン座に出演させるように取計らった。そして最後の手段としてアルを発奮させるためにアルに愛憎尽かしをしたので、アルは狂人のようになって新演出をやり大受けに受けた。かくてアルは独力で1000ドルの週給を獲ることが出来、マージョリーに対する誤解も去って二人は相抱いて喜んだ。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・クロムウェル
- A・エドワード・サザーランド
- 脚色
- パーシー・ヒース
- 原作
- エルシー・ジャニス
- ジーン・マーキー
- 撮影
- J・ロイ・ハント
- 題字
- ハーマン・J・マンキウィッツ