「確実にニューシネマ」狼たちの午後 チャーリーさんの映画レビュー(感想・評価)
確実にニューシネマ
はてさて、1957年に『十二人の怒れる男』を撮った監督が、約20年後には純然たるニューシネマを撮っているって、考えてみると不思議なものですね。密室劇と汗というモチーフは同じだし、社会派的なテーマも変わってないですが、明らかに映画に求めるものが違っているという印象があります。結末のカタルシスの有無といった問題ではなくて、画面に収まる人物の捉え方が本質的に変わっているような気がします。こうまで変わるものか、ということに、時代の勢いを感じさせます。
大好きアル・パチーノの演技は置いておくとして、私が印象に残ったのは、人質として囚われている女性行員たちでした。彼女たちが銀行内で笑ったり、踊ったりしているのを観ていると、果たしてこんなにもその存在が不安定な女性たちがいただろうか、と不思議と見入ってしまっていました。こういう女性の存在も、ニューシネマ独特なのかもしれないな、とか感じましたです。
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