劇場公開日 1976年3月13日

「人情味の欠いた組織が強引に事件を解決した、との皮肉の集大成としたかったのだろうか?」狼たちの午後 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0人情味の欠いた組織が強引に事件を解決した、との皮肉の集大成としたかったのだろうか?

2025年4月20日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

シドニー・ルメット作品は、
数えてみると20本近く観ている位、
数多くの名作で堪能させて頂いた監督だが、
TV放映を機にこの作品を再鑑賞した。
しかし、正直なところ、過去の鑑賞では、
他の作品と比べて、それほど好きになった
作品では無かった記憶がある。

今回、改めて観てみると、
犯人や地元警察官のみならず、
何故か人質や野次馬までも
目立ちたがっているかような
劇場型銀行強盗事件という様相の作品に
感じた。
お粗末な強盗犯人ならではあるのか、
悪人に成りきれない犯人の性格もあってか、
何故か連帯感が生まれてくる
地元警察官・人質・野次馬とのエピソード
には、皮肉が満載だ。

そして、それまでの人情味溢れる展開が、
FBIの登場で事件を解決に導いたが、
それまでの人情劇場を否定するという、
これも皮肉の集大成としたかったのか、
良く分からないまま鑑賞を終えてしまった。

ただ、「十二人の怒れる男」や
「プリンス・オブ・シティ」等と比べる、
登場人物の俗物性が表に出過ぎて、
社会派ドラマ作家を標榜する
メリット監督作品としては、
その目論見が少し緩んでしまう題材
だったような印象を受けた。

KENZO一級建築士事務所
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