メキシコの嵐

解説

「全線」「感傷非曲」に次いでセルゲイ・エイゼンシュティンが監督した映画で、例によって脚色と監督助手はG・アレキサンドロフ、撮影はエドゥアルド・ティッセが担当している。彼の前作と同様に台詞なしの伴奏楽と音響を付したもの。これはアメリカのプロレタリア的作家アプトン・シンクレアの後援のもとにメキシコに於いてその原住民のみを登場人物として撮影したもので、22万尺のネガを費やしたと伝えられている。編集には「女傑」のドン・ヘイスがあたり、字幕は編集監修にあたったハリー・チャンドリーが書いた。伴奏曲は「タブウ」と同じくヒューゴー・ライゼンフェルト博士が選定している。

1933年製作/アメリカ
原題:Thunder Over Mexico

ストーリー

20世紀の初頭ディアスの鉄腕に支配されているメキシコは封建制度の下に縛られていた。あるスペイン系の地主の邸前のマグイ耕地で3人の土着の労働者(ペオン)が働いている。その1人セバスチアンが結婚することになっている娘マリアが両親に伴われて来る。父は娘をセバスチアンに渡し、当時の習慣に従って地主から結婚許可をもらうように勧める。しかし若者2人は地主邸に入ることを許されず、マリアのみ奥庭にとおされて許可を願い出る。地主邸でも娘が結婚するので忙しいから待てと言われる。待っているマリアを地主の友人の好色漢が侮辱しようとするのを、門外に待っているセバスチアンに原住民ボーイが知らせる。踊り入ったセバスチアンは却ってさんざんな目に遭わされる。騒ぎの最中に地主の娘と婚約者が帰宅するのでマリアは恋人を許してくれと嘆願したが、却って彼女も監禁される。半死半生のセバスチアンは門外に叩きだされる。その日地主邸が聖体節祝で騒いでいるのを幸い、3人のペオンはマリアを救い出そうとして発見される。地主側は逃げるペオンを追ってマグイ畑は修羅場と化す。そして地主の娘はペオンが放った弾丸にあたって倒れる。ペオン等3人は捕えられる。地主の娘の葬式がすんでから、3人は頭部だけ出して生き埋めにされその頭を馬蹄に蹂躪されて惨死する。マリアは愛人の友達の惨ごたらしい死骸を見て慟哭する。彼女の祈りと涙が通じたか、嵐が起こった。原住民たちの義憤が起こった。地主の邸は焼打ちに遭い灰燼に帰した。嵐が終ってメキシコにも自由と幸福が訪れる。

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