ミラクルマン(1932)

解説

かつてサイレント時代にも映画化されたことがあり、またジョージ・M・コーアンが舞台に上映して好評を博したことのあるフランク・L・パッカードおよびロバート・H・デビィス合作の物語を再び映画化したもので、「少年時代」「戦争」のウォルデマー・ヤングが脚色の筆をとり、同人と「アメリカの悲劇」「激流を横切る女」のサミュエル・ホッフェンシュタインが台詞を書き、「タッチダウン」「いんちき商売」のノーマン・Z・マクロードが監督にあたった。主なる出演者は「鉄窓と花束」「女学生の日記」のシルヴィア・シドニー、「海賊(1931)」「ビッグ・ハウス」のチェスター・モリス、「時計の殺人」「アメリカの悲劇」のアーヴィング・ピチュル、「西部戦線異常なし」のジョン・レイ、「スーキー」のロバート・クーガン、「フランケンシュタイン(1931)」のポリス・カーロフ、「燃ゆる海原」「大飛行船」のホバート・ボスウォース、「海の巨人(1930)」のロイド・ヒューズ、等でキャメラは「腕白大将」「鉄壁の男」のデイヴィッド・エーベルが担任。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:The Miracle Man

ストーリー

ジョン・マディスンは悪党の親玉だった。彼は存分にペテンやスリをやらせて渡世していた。彼は仲間の一人である可憐な乙女ヘレンを愛していた。ある日ジョンはヘレンのことから仲間の一人と喧嘩して、ある小さな町へ逃れた。そしてその町で彼は世にも不思議な奇跡の人が信仰の力によって病人や障害者を助けているのを見て悪計を思いついた。彼は早速ヘレンを行方不明になっていた奇跡の人の娘であると名のって出させ、仲間の一人に障害者の真似をさせ、ある町辻で奇跡の人の力で不具が治るところを公衆に見せ公衆から不正の寄付を集めた。ところが本当に不具であったポピイと呼ぶ少年が救われるのを見てはさすがに悪党たちも度肝を抜かれてしまった。そして彼らは次第に奇跡の人の自愛と人格と力に打たれるようになり、ついに彼らは悪事渡世から足を洗うと思い立つに至った。ある日その町の金持ちソーントンが妹の病気を治してもらいに奇跡の人を訪れ、ヘレンに会い、恋に陥り求婚したがヘレンはジョンを愛しているので拒絶した。それを耳にしたジョンは嫉妬からソーントンを殺そうとしたが一切の事情をソーントンから聞き、喜んでヘレンのもとに行った。すると丁度その時、奇跡の人の臨終でジョン一味の者が全部枕頭に集まっていた。ヘレンは自分たちがペテン師であったことをいま奇跡の人に打ち明け、許しを得ようとすると奇跡の人はそれをさえぎり、一切を知っていたと述べて息を引き取った。ジョン一味の者はこの言葉に感泣し、真人間になることを誓った。ジョンもヘレンと手を携えて正道についたのである。

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