ミス・ダイナマイト
解説
パラマウント映画「キック・イン」を最後に映画界を引退していたクララ・ボウが 復活して主演した映画で、米国では有名な作家ティファニイ・セイヤーの筆になった小説を映画化したもの。脚色は「バッド・ガール」を脚色してアカデミ賞を獲たエドウィン・バークが当り、監督には「無冠の帝王」「キスメット(1930)」のジョン・フランシス・ディロンが任し、キャメラは「上海特急」「アメリカの悲劇」のリー・ガームスが受持っている。助演者は「十三号室の女」「キートンの決闘狂」のギルバート・ローランド、「御冗談でしョ」のセルマ・トッド、「軟派ガール」「十仙ダンス」のモンロー・オーズリー、「街の風景」「シマロン(1931)」のエステル・テイラー、「曠原の伊達男」のウィラード・ロバートソン、「沈黙の証人」のウェルドン・ヘイバーン、アンソニー・ジョウィット、ヘール・ハミルトン等であった。
1932年製作/88分/アメリカ
原題または英題:Call Her Savage
ストーリー
ネイサ・スプリンガーはピーター・スプリンガーとその妻ルースとの娘と思われてい たが、実はルースと若いインディアンのロナサとの間に出来た罪の娘であった。ロナサは己が罪を恐れ恥じて自殺したのであった。そのためかネイサは女だてらに荒々しい性質であった。ある日ピーターはネイサが森の中でインデアンと白人とのハーフのムーングロウはネイサを恋しているので彼女の鞭を甘んじて受けているのであった。ピーターは彼女の将来を案じてシカゴの女学校へ遣った。しかし彼女の性質は相も変らぬのみか、増々野性を発揮した。ピーターが彼女のために選んだ富豪の息子との婚約披露の晩に彼女は放蕩児と折紙のついたローレンス・クロスビーを手に入れて了った。ところがクロスビーにはやはりシカゴの社交界に名だたる女のサニー・デ・ランが恋していたので、サニーとネイサは大喧嘩をして了ふ。ネイサは父のピーターの憤りを怖れてクロスビーをうながして出発して早速結婚をした。しかしクロスビーはサニーの許に帰ったのでネイサは自暴自棄でクロスビーの金でしたい放題のことをして歩いた。ところが彼女はすでにクロスビーの児を宿して身重になっていた。そして余りの放蕩にあきれたクロスビーからは金が貰えなくなった。父に今更詫をいれて許してもらうにはネイサの自尊心は高すぎた。彼女は困惑して街の女となった。不幸な境涯に唯一の慰めは生まれた男の児の愛らしい笑顔だったが、彼女が春をひさぎに外出している間に失火のため赤ん坊は焼死して了った。世を呪いたくなった彼女の許に故郷からムーングロウが訪れて来た。ネイサの祖母が10万弗の遺産を残して死んだという知らせを彼はもたらしたのである。大金を手にしたネイサは男性に復讐をせんと心に誓ってニューヨークへ乗込んだ。彼女が最初に選んだ犠牲者は富豪の子ジェーイ・ランドールだった。ところが彼女に愛想をつかして2人の結婚は成立を見ずして終った。ついに行くべき所を失ったネイサは故郷の町へ帰った。ハーフのムーングロウは弁護士となっていたが、今もなおネイサを忘れかねていた。ネイサは母に死別した。その臨終の床で母のルースはネイサに彼女の父はピーターでなくインデアンのロナサであることを告白した。ネイサは始めて己が血の秘密を知った。そして彼女を心から愛してくれるムーングロウの許へ赴いたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・フランシス・ディロン
- 脚色
- エドウィン・バーク
- 原作
- ティファニー・セイヤー
- 撮影
- リー・ガームス