劇場公開日 1972年11月3日

「ユタ州の自然を愛したレッドフォードのルーツ的作品か」大いなる勇者 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 ユタ州の自然を愛したレッドフォードのルーツ的作品か

2025年9月30日
PCから投稿

開拓民の中でも山中で狩猟して暮らすマウンテンマンと呼ばれた人々の中でも、「肝臓喰い」とあだ名された実在の人物、ジョン・ジェレマイア・ジョンソンの伝記映画で、過酷な山中で暮らそうとする世捨て人の主人公をロバート・レッドフォードが熱演。ディカプリオの『レヴェナント』も過酷な西部開拓民の生き方を身体を張って描いていたが、こちらも山中に分け入った風景の荘厳さと、そこでの生活をドキュメンタリー的に描いたアプローチが力を発揮している。

そしてなによりも、アメリカ人が持っている西部開拓魂や開拓民への憧憬がどういうものなのかがひとつの具体として理解できるのがいい。こんな暮らしを実際にしたいかどうかはともかく、そこにはひとつの哲学があり、こういう精神性がアメリカという国を作ったという感覚があるのだろうと、異文化理解が進む資料的な価値も大きい。

しかしシドニー・ポラック監督にはなんとなく都会的なイメージがあるのだが、大自然とがっつり組んだ作品があったことも、先入観を打ち崩してくれて良い。

村山章
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