暴風の処女

解説

「歓呼の涯」「六月十三日の夜」のスティーブン・ロバーツ監督作品で、米国の人気作家ウィリアム・フォークナー作の小説に基いて「市街」「夜の看護婦」のオリヴァー・H.P.ギャレットが脚色に当たった。主役は「極楽特急」「闇に踊る(1932)」のミリアム・ポプキンスが勤め、「追いつめられた女」「巴里の丑満時」のジャック・ラルーを始め、「雨」「百米恋愛自由型」のウィリアム・ガーガン、「ミラクルマン(1932)」「お蝶夫人」のアーヴィング・ピチェル、「シマロン(1931)」「闇に踊る(1932)」のウィリアム・コリアー・ジュニア、「結婚双紙」のフローレンス・エルドリッジ、英国劇壇から招待されて来たガイ・スタンディング卿、「競馬天国」のジェームズ・イーグルス等が助演している。撮影は「暴君ネロ(1932)」「追いつめられた女」のカール・ストラッスの担任である。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:The Story of Temple Drake

ストーリー

ドレイク判事はモダンガールの孫娘テムプルを有能な弁護士スティーブン・ベンボウと結婚させたがっていた。スティーブンはもちろん彼女を愛していたので判事の言葉に勇気づけられ、ダンス会の折りに結婚を申し込んだ。テムプルは好青年の彼を愛していたが、彼の謹厳さに慊らないものがあり、結婚は断ってしまった。そして気のおけない大学生のトディー・ゴウァンと二人で飲みに出かけた。トディーは既に強く酔っていたので人里離れた街道で運転を誤って自動車を転覆させてしまう。物音を聞きつけた近くの破れ屋に巣くう密造ギャングの首領トリガーに二人は連れ込まれた。トディーは脆くものされてしまったが、一味のグッドヴィンの内縁の女房ルビィに助けられてテムプルは納屋にかくまわれ、見張り役の少年トミィが鉄砲を持って警固役を勤めた。降りしきった暴風雨も夜明け方にはやんだ。トリガーはトミィを射殺して、テムプルを襲った。朝になるとトリガーはテムプルを誘拐して街の怪しげなアパートへ監禁してまた暴行を加えた。ドレイク判事の孫テムプルの失踪は物々しく新聞にも書き立てられた。一方グッドヴィンがトミィ殺しの犯人として検挙され、スティーブン・ベンボウがその官選弁護人に選ばれた。グッドヴィンはギャングの掟を守って知らぬ存ぜぬの一点張りだったが、ルビイかトリガーが犯人であろうと申し立てた。スティーブンは単身トリガーを訪ねて行き、テムプルがいるのに驚いた。トリガーが殺意を起こしたのを見てとったテムプルはスティーブンを庇うためにトリガーに媚びを呈したのでスティーブンは失望して立ち去った。テムプルは決心してトリガーの許を去ろうとして遮られ、偶然手に触れた拳銃でトリガーを射殺して逃れた。裁判が不利となったスティーブンは事件の真相を知るテムプルを遂に証人席に立たせることとなった。ドレイク判事はそのことでスティーブンを非難したがテムプルは自分がトリガーを殺したことを彼に打ち明けた。公判廷で、彼はテムプルを証人席に呼んだ。トミイ殺しのあった晩、彼女は何処にいたかを彼女に尋ねる彼は、弁護士としての職責と愛する者としての苦悩に板挟みだった。その悩みを知り、また罪なき者が罰されるのを傍観することができず、テムプルは己が恥辱を忍んで事件の真相を告白して、その場に昏倒した。スティーブンは彼女を抱き上げ、ドレイク判事に向かって、僕は彼女の勇気を恋人として誇りに思います、と言うのだった。

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