北欧の海賊
解説
第8世紀乃至第11世紀頃ヨーロッパの西海岸を荒しまわった有名な海賊の伝記を基に書かれたオティリー・ア・リリエンクランツ氏の小説を映画化したもので、ジャック・カニンガム氏がその脚色に当たり、「女ラッフルズ」と同じくロイ・ウィリアム・ニール氏が監督した。主役は「大河の奇賊」「ブラック・パイレイト」のドナルド・クリスプ氏、「男・女・妻」のポーリン・スターク嬢、「熊馴らしの娘」のルロイ・メイソン氏、この3人であるが、そのほかアンダース・ランドルフ氏、ハリー・ルイス・ウッズ氏、リチャード・アレクサンダー氏、等も出演している。テクニカラー・プロセスによって天然色が施されたサウンド・ピクチュアである。キャメラはジョージ・ケイヴ氏の担任。ヘンリー・ピー・ウォルソール氏、ジョゼフィン・クロウェル夫人、等が出演している。
1928年製作/90分/アメリカ
原題または英題:Viking
ストーリー
10世紀の末勇猛豪胆を以て一世を震撼させるノルウェー海賊の物語。リーフ・エリクソンを首領に戴く彼らは英国ノーザンブリアを襲って若き城主アルウィンを捕虜となし、ノルウェーに連れ帰った。リーフに仕える美しき乙女ヘレガは奴隷として酷使されているアルウィンの男らしき振舞いを認め首領リーフを説いて奴隷から解放し重任につかしめた。これが機縁となってヘレガとアルウィンは恋仲となった。だが、この時すでに美しいヘレガを思う2人の男があった。1人は首領のリーフ、1人は武士エジルで2人は彼女のことから反目するような奸計におかれた。雄大な野心を抱くリーフが未知の世界をきわめようとの心から父親エリクの支配地ぐりーんらんどを抜錨した時、船員の多くは迷信からこの船路を恐れた。それを利用してリーフに恋の怨みをもつエジルは船員を煽動して不穏の空気を漂わしめた。船中でヘレガを迎えようという祝宴の最中、エジルはリーフを打とうとして反ってアルウィンに妨げられ、リーフの手にかかって殺された。エジルは死んだ。が、ヘレガの心はアルウィンに傾いていた。これを知ったリーフは怒りの余り、アルウィンを打たんとしたがクリスチャンを以て自らを誇る彼は思い止まった。その時彼方に陸が見えた。一行は躍り上がって喜んだ。彼らは白人として初めて西半球に足跡を印したのである。リーフは翌年再び訪れることを約して、アルウィンとヘレガに多少の船員を残して故国ノルウェーに帰った。アルウィンとヘレガは新しい世界で幸福に暮らした。帰って来る約束のリーフはついに帰らなかった。その後この海賊たちはどうなったか。歴史は今以て不可解の謎として伝えている。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロイ・ウィリアム・ニール
- 脚色
- ジャック・カニンガム
- 原作
- オティリー・ア・リリエンクランツ
- 撮影
- ジョージ・ケイヴ
- 美術監督
- Carl Oscar Borg
- セット
- Tec Art
- 編集
- オーブリー・スコット
- 色彩着色
- ナタリー・カルマス