忘れられた顔(1928)

解説

「ショウ・ダウン」に次ぐヴィクター・シェルツィンゲル氏監督作品でリチャード・ウォッシュバーン・チャイルド氏作の小説をオリヴァー・H・P・ギャレット氏が改作し、ハワード・エスタブルック氏が脚色したもの。主役は「暗黒街」「フラ」出演のクライヴ・ブルック氏が勤め、「罪の街」「三罪人」のオルガ・バクラノヴァ嬢と「非常線(1928)」「弥次喜多探偵の巻」のウィリアム・パウエル氏とが共演するほか、メアリー・ブライアン嬢、ジャック・ルーデン氏、フレッド・コーラー氏、ハリー・T・モーレイ氏が助演する。ちなみにかって「地獄花」と題して公開されたコスモポリタン映画”Heliotrope”は同じ原作を映画化したものである。

1928年製作/アメリカ
原題または英題:Forgotten Faces

ストーリー

ヘリオトロープの花の匂いが大好きで愛用するのでヘリオトロープ・ハリーと綽名せられた紳士泥棒のアダムスは盗みをするという欠点を除けば紳士として何等非難すべきところのない男であった。彼の相棒であり乾分であるフロッギーがあくまでも彼に忠実であるのはひとつにはここに由来するのであった。ところが彼の妻は既に可愛い赤ん坊まで成した仲でありながら不義密通を働きそのうえハリーらの悪事の現場に警官をさし向けるという不実な女であった。一足違いで虎口を脱したハリーはわが家へ帰るや妻の不義の現場を押さえ、憤って姦夫を射殺した。彼は愛児を抱いて去り、ディーンという立派な家の門辺りに捨て子した。そしてディーン夫妻が赤ん坊を拾い上げたのを見済ましたハリーはフロッギーに生涯娘を見張ってくれと頼んで自首した。彼は終身懲役囚として鉄窓裏にあっても、フロッギーが送ってくれる娘の写真を抱いて満足していた。彼の娘はアリスと名付けられディーン家の一人娘として育しみを受け今ではヴァン・ビューレン家の息子ノーマンと婚約ができていた。その後は売笑婦に堕落しているハリーの妻は娘を食い物にせんと考え詐術を弄してフロッギーから娘がアリス・ディーンであることを探り出し、ハリーを刑務所に訪うてアリスは今後自分の好きにすると嘲笑して去った。子を思うハリーは決して妻を殺さぬと誓約して典獄の許可を得て仮出獄した。そしてフロッギーの助力を得てディーン家の侍僕に住み込んで陰ながらアリスを護った。かくて彼は妻がディーン氏に面会するのを妨げると共にヘリオトロープの香りを用いて妻に恐怖心を起こさせ、ついにある夜ディーン邸の下男部屋に妻を導き入れ自分の顔を見せた。妻は驚き恐れて彼を撃ち、仕掛の梯子から逃げようとして歩道に墜落して惨死した。娘の幸福を護り典獄との約束を守ってハリーは静かに瞑目した。

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