巴里の魔人
解説
フランスの有名な探偵小説家ガストン・ルルウの原作から「海魔」「月光の曲」のベス・メレディスが撮影台本を組み立て、「月光の曲」のエドウィン・ジャスタス・メイヤー、「結婚双紙」のジョン・ミーハンの二人が台詞を附し、「滅びゆく凱歌」「夜襲」のジョン・S・ロバートソンがメガフォンをとったもので主なる出演者は「海行かば(1930)」「運命の兄弟」のジョン・ギルバート、「ゴルフと女房」「海行かば(1930)」のリーラ・ハイアムス、「街のをんな」「インスピレーション」のルイス・ストーン、「あけぼの」「サアド・アラアム 警笛間を衝く」のジーン・ハーショルト、「近代エロ双紙」のナタリー・ムーアヘッド、アイアン・キース、C・オープレイ・スミス、アルフレッド・ヒックマン等でカメラは「月光の曲」「ニュー・ムーン」のオリヴァー・T・マーシュが担任である。
1931年製作/アメリカ
原題または英題:The Phantom of Paris
ストーリー
フランスの富裕な貴族ブウルリエーの令嬢セシルはデュ・トウシエー侯爵と婚約を結んでいたが、彼は秘かに有名な魔術師シェリ・ピピを愛していた。彼女の父ブウルリエーは婿となるべきデュ・トウシエー侯爵が娘に対して真の愛情をもっていず、ただ財産めあての結婚を企んでいるのを発見してある時婚約取消の宣言をした。ところがブウルリエーが遺言状にその旨を書き残すことを知った侯爵はその以前に於いてブウルリエーを殺害しようと企てた。シェリ・ビビはブウルリエーに令嬢セシルを妻に申し受けたいと願い出たが一笑に附せられ二人は争論まで引起こし、シェリ・ビビは憤慨して彼のもとを去った。その直後、侯爵はブウルリエーを襲って突如背後から射撃し、死に至らしめた。嫌疑はシェリ・ビビの上にかかった。その真相を知っているのはブウルリエー家にセシルの秘書として働くヴェラだけであった。だが、かねてからトウシェー侯爵の寵愛をうけている彼女は口を緘して何も語らなかった。シェリ・ビビは殺人罪に問われ、死刑に処せられることになった。が死刑執行の当日脱走し、以前から彼の魔術器具の製作を引き受けていたエルマンの工場に身をかくすこととなった。一方何も知らぬセシルは父の意志と信じて侯爵と結婚し子供まで儲けた。4年間の隠とん生活の後、シェリ・ビビは侯爵が病のため危篤の状態にあるとき、闇にまぎれて侯爵の部屋に押入り罪状を白状せしめたが、惜しやその記録をとる前に侯爵は息を引取ってしまった。シェリ・ビビは死骸を親友ゴラン博士のもとに運び、特殊の外科手術によって己が容貌をデュ・トウシェーと瓜二つのものにし何食わぬ顔して侯爵の邸に戻りシェリ・ビビに誘拐されんとしたこと、だが結局シェリ・ビビが死んで無事に帰宅できたことを家人に語った。しかし彼はヴェラの恋を斥けたので彼女に彼女に正体を看破され警察に密告された。セシルもまた彼がシェリ・ビビであることをついに知った。そしてシェリ・ビビが彼女の父を殺害した真の犯人を立証したので彼に対する彼女の誤解はようやくとけた。シェリ・ビビはあるトリックを用いて探偵をカーテンの蔭にひそませ、ヴェラに真相を語らしめたので、一切の事情が明かとなった。かくてシェリ・ビビとセシルも今は晴れて互いの愛の言葉を語り合うことが出来るようになった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・S・ロバートソン
- 脚本
- ベス・メレディス
- 原作
- ガストン・ルルー
- 台詞
- エドウィン・ジャスタス・メイヤー
- ジョン・ミーハン
- 撮影
- オリヴァー・T・マーシュ