劇場公開日 1966年7月9日

「クレーン、長回し、スタイリッシュなサスペンス」バニーレークは行方不明 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0クレーン、長回し、スタイリッシュなサスペンス

2020年10月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

NHK BSプレミアムの放送で観賞。

アバンタイトルはなく、斬新なタイトルデザインで幕が上がる。これから展開するスリラーを予感させるデザインだ。
そして、主人公の兄スティーブンが公園のような庭を通って家に入り、引っ越しの運送屋と家を出るまでを追ったシーンで物語は始まる。家から出てきたスティーブンが運送屋に指示を伝えてから車に乗って去っていくまでの長回しワンカットは、クレーンを使っていると思うが、どうやって撮影したのだろうかと感心する。

シングルマザーの主人公アンが行方不明になった幼い娘を探す物語。
娘の姿を見た者がいないため、娘はアンの空想ではないかと追い詰められる心理サスペンスになっていて、『フライトプラン』のジョディ・フォスターと同じ目にあうのだ。

保育園の給食調理師、園長、大家、と怪しい人物が物語を撹乱してくれるが、犯人はなぜか自ら正体を明かす行為に出る。
事実が判明すると、映画は倒錯の世界に移っていくのだが、なかなかに常軌を逸した展開をみせる。
しかし、犯人の人格の変わり方が極端過ぎないか…と、思ったりはする。

モノクロ映画だが、カメラワークが凝っていて全体的に演出はスタイリッシュだ。
最初から最後まで緊張感をもって観ていられる、サイコサスペンスの秀作。

kazz