紐育の仇討
解説
「夜毎来る女」に次ぐジョージ・ラフトの主演映画で、ジョン・ウィルスタッチの原作小説をトムソン・バーティスが脚色し、「フランケンシュタイン(1931)」「魔人ドラキュラ」のギャレット・フォートと「犯罪王リコ」「フランケンシュタイン(1931)」のフランシス・エドワーズ・ファラゴーが共同脚色し、「女傑」のジェームズ・フラッドが監督に当たり、「今晩愛して頂戴ナ」「極楽特急」のヴィクター・ミルナーが撮影した。助演者は「私の殺した男」「わがまま者」のナンシー・キャロル、「拳骨大売出し」「七万人の目撃者」のデイヴィッド・ランドー、「謎の真空管」「夜の大統領」のノール・フランシス、舞台劇から来たグレゴリー・ラトフ、ウィリアム・ジャニー、ポール・ポルカシ等である。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:Under-Cover Man
ストーリー
ニューヨークに巨額の株券を強奪する凶悪な強盗団が出没してから数週ーある日某仲買店の小店員ジミイ・マディガンが多額の株券を銀行に預けに赴く途中、鋭利なナイフで刺殺された。犯人はお洒落紳士と世間で目されているケネス・メイスンであった。彼の部下で株式仲買店を表看板にしているマートフはその株券を金に換えて呉れと、かねて気脈を通じている仲買人サム・ドースの店に頼みに行った。ところがドースは血を流して品物は取り引きしないと拒絶して口論となり、逆上したマートフのために射殺されて了った。警察は相ついで起こった二つの殺人事件が共に犯跡なく、犯人の目星もつかないで徒らに焦燥していた。その時ニック・ダーロウと名乗る悪漢がコンクリン警部を訪問して諜者に成り度いと言って来た。彼はサム・ドースの倅であった。彼の父親の仇を討ちたいと思ったのである。彼はジミイ殺しとサム・ドース殺しには関係があると睨み、警察が偶然手に入れていたトレドのギャングスターのギルスビーからマートフに宛てたオリー・スネルという男の紹介状を貰い、ニックはオリー・スネルになり済ましてマートフを訪れ、多額の株券詐欺の儲け話しを片棒担いで呉れと頼んだ。マートフは商談は明日にして今夜は遊んで呉れと言うので、ニックは殺されたジミイに姉ロラを訪ねて弟の仇を取る気なら一緒に力を貸すように勧めて同意を得た。そこで彼はロラをトレドから同行した情婦として伴い、ナイトクラブでメイスンとその情婦コニーに紹介された。ニックはロラにメイスンに取り入って様子を探らせる。メイスンはコニーに同様なことを命ずる。コニーは失敗したがロラは成功し、メイスンがナイフと仕込んだ万年筆を持っていることを確かめた。コニーが失敗したので、翌日ニックはマートフから巧みな罠にかけられたが、度胸の座っているニックは尻尾を掴まれなかった。ところがトレドのギルスビーが突然訪ねて来たので危うくニックの素性は暴露しかけたが、ギルスビーは一言も吐かぬ前に奇怪にも射殺されて了った。メイスンは一抹の疑念を持っていたがロラを手に入れるまでと、十万弗の大仕事をやるまでと、思ってニックを一味に入れた。ニックとマートフは十万弗強奪に成功して逃げる途中、自動車中でマートフがサム・ドース殺しの下手人であると知って仇を討った。ロラのアパートに先づ盗品を運び込むと、先着していたメイスンがはニックの素性を知って部下のダニーに殺させようとする。ところがダニーも警察の諜者で却ってメイスンが捕縛された。ギルスビーを殺したのもダニーであった。見事に仇を討ったニックとロラは相愛の仲となる。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジェームズ・フラッド
- 脚色
- トムソン・バーティス
- ギャレット・フォート
- フランシス・エドワーズ・ファラゴー
- 原作
- ジョン・ウィルスタッチ
- 撮影
- ビクター・ミルナー