ナイトクラブの女
解説
「たそがれの女」「犯罪都市(1931)」のアドルフ・マンジュウが主演する探偵映画で、原作はアンソニー・アボットの有名な探偵小説である。これを「狂乱のアメリカ」「アリゾナ(1931)」のロバート・リスキンが脚色し、「シスコ・キッド(1931)」「モダーン西部王」のアーヴィング・カミングスが監督に当たり「米国の暴露」「アリゾナ(1931)」のテッド・テズラフが撮影した。助演者は「南海の劫火(1932)」「蜃気楼の女」のスキーツ・ギャラガー、「海賊(1931)」のメイヨ・メソット、新進のルーセルマ・スティーヴンス、「街の風景」のグレタ・グランステット、ブランシュ・フレデリシ、アルバート・コンティ、ジェラルド・フィールディング、エド・ブラディー等である。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:The Night Club Lady
ストーリー
ニューヨークでも第一流のナイトクラブを経営している美しいローラ・カリュウは、殺してやる、という文句の脅迫状を度々受け取って恐怖に戦いていた。明日はお正月という大晦日の晩、彼女が不安に怯えながら開いたハンドバッグの鏡に、今夜夜半が死の時刻だと書いた紙片が張りつけられているのを見た時は、ローラは危うく失神しそうな気持ちになった。彼女は一人アパートにいるのが耐えられなくなり折柄訪ねて来た友人のヴィンセント・ローランドと共に、ナイトクラブへ赴いた。ところが着くと匆々、彼女は何物かに狙撃された。弾丸は危うく彼女の体をかすめて壁に命中したのでことなきを得たが、ローラの神経はますます昂った。クラブに来合わせていた警視庁の殺人犯係長サッチャー・コールト警部は、ローラが死の脅迫を受けていることを読唇法で知り、混雑しているナイトクラブよりも静かなアパートへ送っていった。コールトは腕利きの刑事8名を呼び寄せ、部屋部屋を隈なく捜査せしめて異常なきを確かめた上12時間近となるや、ローラを客間の中央に座らせ、その周りを8名の刑事が守護し、コールト自身も彼女の傍に立っていた。ローラが寒気を覚えて寝室からナイトガウンを持ってきて羽織ったのが12時4分前だった。やがて12時の時計がなり始めた。その半ば、ローラは魂ぎる叫び声を名残りに打ち倒れた。彼女の母のカリュウ夫人は泣いて遺骸に取りすがった。コールとはあまりの不思議さに呆然として立ちつくした。招じ入れられた医師レングルは心臓麻痺と診断し、念のため強心剤を注射したが無効だった。続いてお手伝いのユーニスが叫び声を挙げて窓を指さした。そこには客として滞留し、当夜は外出したはずのクリスチンというローラの友人が銃殺されてぶら下がっていた。コールトは二重殺人の謎にしばらくは推理の方法もつかなかった。やがてカリュウ夫人、お手伝いユーニス、下僕ミュラ、等を訊問した末、右の3人及びレングル医師、クリスチンと共に外出した俳優のエヴァレットを容疑者と認め、ローラの身元と共に容疑者5名の身元を洗い挙げた。その結果、カリュウ夫人を除く容疑者はいずれも前科者の外国人で、ローラに強請去れていることがわかった。コールトは5名を私室に招き、女助手ケリーと共にお茶の会を催した挙句、ローラ殺しの犯人は君たちの仲の1人であると言って、送り出した。その時コールトがローラのアパートで発見した奇妙な竹筒が紛失した。ケリーはレングル医師がひそかに持ち帰ったのを目撃していたので、コールトは部下と共に医師を訪問すると、彼は部屋の入口近くに倒れ、傍に一匹のサソリが迫っていた。医師の右手の掌にサソリに刺された傷口が血ににじんでいた。コールトはレングル医師が第3の犠牲となるに及んで、犯人が何者であるかを的確に知り得た。しかし証拠が乏しいので白状させるのが容易でない。彼はローラのアパートで惨劇当夜の模様を再演することを思いつき、彼自らローラの役を勤めた。そして見事に犯人を捕らえた。犯人は何者?
スタッフ・キャスト
- 監督
- アービング・カミングス
- 脚色
- ロバート・リスキン
- 原作
- アンソニー・アボット
- 撮影
- テッド・テズラフ