ドリアン・グレイの肖像

劇場公開日:

解説

オスカー・ワイルドの小説の映画化で、プロデューサーとして脚本家として名あるアルバート・リューインが脚色監督した1945年作品。出演者は「謎の下宿人」「激闘」のジョージ・サンダース、ドリアン・グレイ役に抜てきされた新人ハード・ハットフィールド「大地は怒る」のドナ・リード「ガス燈」のアンジェラ・ランズベリー「嘘つきお嬢さん」のピーター・ローフォード「浮世はなれて」リチャード・フレイザー、ローウェル・ギルモア、ダグラス・ウォルトン等で、撮影は「愛の調べ」「町の人気者」のハリー・ストラドリングが監督した。

1945年製作/アメリカ
原題:The Picture of Dorian Gray
劇場公開日:1949年5月

ストーリー

1885年、富と美ぼうにめぐまれたドリアン・グレイは、画家ホールウォードに肖像画を書かせた。それは素晴らしい画で、まるで生きているような不思議な魅力があった。画家の姪にあたる少女グラディスは、まだ渇かぬカンヴァスのすみに、伯父の署名のそばにGという字をいたずらに書いた。自分の肖像画に見とれながらドリアンは、この画の若さを僕がいつまでも保つことが出来たならと一言をいうと、彼の友人で皮肉屋のヘンリー・ウォットン卿は、エジプトの黒ネコの像の前で願えば君の願はかなうぜという。数日後ドリアンはロンドン下町の歓楽街を歩いていた。彼の耳にはヘンリー卿の言葉-生活を享楽しろよ、あらゆる機会をのがさずにという言葉が耳から離れなかった。下品なミュージックホールで歌っているシビル・ヴェースを彼は美しいと思った。彼女と結婚しようと思ったドリアン卿と画家をさそって彼女の舞台をみせた。卿は言った、結婚の必要はない、肖像画を見に来いと誘って来たら帰さなければいいんだ。卿の言の如く、ジビルはいったん帰りかけてまた引き返して来た。彼女はドリアンと別れ得ないのだ。しかしシビルに手紙を書いた。君は僕の愛を殺した、僕は快楽のためにのみ生きることに決めた。肖像画の口元が残酷の表情でゆがんでいるのを見たドリアンはわびの手紙を書いたが、その時訪れたヘンリー卿は、絶望したシビルが自殺したと知らせた。ドリアンは肖像画を2階の学生時代の勉強部屋に隠した。数年たって彼は画家ホールウォードに画を見せたあと、美しく成人したグラディスに画家が画のことを話すのを恐れ背後から刺し殺した。そして彼の言いなりになる化学者に画家の死体を処分させた。化学者はその後自殺し、ドリアンはグラディスと婚約した。シビルの兄ジェイムスは妹のあだがドリアン・グレイであることをつきとめ、彼の別荘の庭に忍びよったところを野ウサギと間違えられて射殺された。さすがに責任を感じた彼は、グラティスに婚約破棄の手紙を送り、肖像画の心臓にナイフを突きたてた。たちまちドリアンは倒れた。肖像画は美しい青年となり、その前の死体はドリアンと見分けのつかぬ醜悪な老人であった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第18回 アカデミー賞(1946年)

受賞

撮影賞(白黒) ハリー・ストラドリング

ノミネート

助演女優賞 アンジェラ・ランズベリー
美術賞(白黒)  
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映画レビュー

4.0「魔太郎がくる」で知った物語

2022年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この『ドリアン・グレイの肖像』という物語を知ったのは、1970年代に毎週読んでいた『少年チャンピオン』の「魔太郎がくる」ワンエピソードだった。
「魔太郎がくる」は、イジメられた魔太郎が復讐する藤子不二雄(現 藤子不二雄A)のマンガだったが、その復讐の方法が凄くて「自分をいじめた同級生をコンクリート詰め」・「フーテンをゴミ袋に入れて捨てる」等々、現在では表現できない物凄さでインパクトあった。
最初に書籍化されたチャンピオンコミックス(旧版)では概ね掲載どおりに収録されたが、その後復刊された際(藤子不二雄ランド、新装版チャンピオンコミックスなど)では復讐方法がマイルドに書き変えられている。
この『ドリアン・グレイの肖像』エピソードは、特に魔太郎がイジメられる物語ではなく、老田君という魔太郎の同級生が「ドリアン・グレイの肖像」絵画に惚れこんだために被る悲劇を描いたものだが、途中、怪奇やのオジサンから「ドリアン・グレイの肖像にまつわる話」が語られる。こうして知った物語だったが、「魔太郎がくる」ではかなり端折った紹介の仕方であり、実際に映画を観ると、ドリアン・グレイが殺人を犯したり、自分を慕うう女性を自殺に追い込んだり…と事件を起こしているのが分かる。

若さと引き換えに魂を売った男の物語で、なかなか面白い映画だった。

本作では、ときどき映される「ドリアン・グレイの肖像」の映像だけパートカラーだったりするので、なかなか印象的。

もし興味があれば「魔太郎がくる」のこのエピソードを一読することをオススメしたい。

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たいちぃ
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