鉄壁の男

解説

「赤新聞」につぐジョージ・バンクロフトの主演映画。チャールス・ディッケンズの小説「ドンビイとその子」から構想をかりて「おしゃれ牧場」「砲煙」のグロヴァ・ジョーンズと「戦う隊商」「国境の狼群(1930)」のエドワード・E・パラモア・ジュニアが脚本を合作し「夜霧の女」「赤新聞」「戦争と貞操」のデイヴィッド・エーベルが撮影を担当したもので助演者は「アメリカの悲劇」「パリ選手」のフランセス・ディー、「影を売る男」「夜霧の女」のジュリエット・コンプトン、「赤新聞」の議ルバート・エメリイ、「トレスパサー」ノロバート・エイムス、「摩天楼の巨人」のデイヴィッド・デュランドその他である。

1931年製作/アメリカ
原題または英題:Rich Man's Folly

ストーリー

ブロック・トランブルはニューイングランドの錚々たる一造船所の所長だった。彼は善良な男だったが、職務に対しては希にみる熱情家で造船にあらゆる心血を注いだ。船は彼の宗教であり、夢であり、また彼自身の表現でもあった。彼には一男一女があったが彼の妻は息子を産み落とす間もなく死んでしまったので彼は子供達の成長を唯一の楽しみにしていた。ことに息子に対する彼の期望は大きかった。自分の後継者!そんな期待に燃えながら息子を一人前の造船家にたたき上げるつもりだった。けれど息子は長ずるに従って父親の信条を疑うようになった。金や勢力が何になる。息子は日夜こうした疑惑に駆られながらある日突如この世を去ってしまった。ちょうどその頃、同じ造船業者で商売仇のジョー・ワーレンはブロックと競争することの不利を見てブロックと提携しようと言ってきたがブロックはすげなくハネつけた。ジョーはかつてはブロックの妻の求婚者であり、彼らはお互いに恋仇でもあったのである。息子の死、ブロックの悲嘆は大きかった。彼は殆ど絶望に近い気持ちを味わいながら鉄のような彼の意志さえぐらつきはじめた。しまいに彼は悶々の情に耐えがたく愛娘アンを残して単身ヨーロッパに出かけた。そこで彼は間もなくポーラという余り素性の良からぬ女に引っかかりしまいに結婚してしまった。息子の死、自分の夢の破壊、この寂しさを彼はせめてポーラに託して癒すほかなかった。やがて彼は新妻ポーラを伴って本国へ帰ってきた。見るとその留守中に彼の造船所は痛く衰微しそれに反してジョー側は旭日昇天の勢いだった、それにまた娘のアンまでがいつかジョーと恋仲となりジョーのもとに走っていた。これを見たブロックは憤怒に燃え再び彼の仕事に対する熱情は白熱化した。そして日ならずして彼の造船所は再びその勢力を盛り返して敵方のジョーを叩きつぶしてしまった。かくしてブロックは舊に倍する金と勢力を勝ち得る身となったが何かしら彼の心にやるせない空虚を感ずるのだった。ある日、彼は娘のアンがブロックのために惨敗したジョーを慰め励ましているのを目撃した。それがブロックの心に何とひびいたか。ブロックは初めて真の幸福は金でも勢力でも名誉でもなく娘の幸福にあることを知った。娘の幸福を祈りながら所員のあらゆる避難や嫌がらせを顧みず一時造船を停止してジョーに造船契約を譲り、その窮地を救ってやったのだった。

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