脱獄者の叫びのレビュー・感想・評価
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ガスマンとサリヴァンの殴り合い
LAの州刑務所から脱走したヴィットリオ・ガスマンを追う刑務官バリー・サリヴァンのお話。正確に云うと、ガスマンは、ウィリアム・コンラッドによって検事局へ護送中に、トンネル内で自動車事故に合い、運よく隙をついて逃亡を図るのだ。逃げたガスマンが、急な坂を登るケーブルカーへ乗り込むカットが、ジョセフ・H・ルイスらしい空間造形だ。ロングショットの中の通行人のリアクション演出もいい。
本作のユニークさ(アピールポイント)は、ガスマンの妻子がいる地元が、ルイジアナのバイユー(湿地帯)で、主人公のサリヴァンや、部下のコンラッドは逃げ込んだガスマンを追跡するため、勝手の知らない沼地を舞台に四苦八苦する、という設定だろう。例えば、サリヴァンは、沼の水を飲んだため、沼地熱と現地の医者が云う高熱に苦しめられる。この場面での唐突な悪夢の造型が、シュール過ぎて違和感もあるが、面白い。白い壁(多分大きな布で作った壁)と、沢山のガスマンの影。
あと、ハリウッドらしい美人女優は二人出て来てるが、一人はサリヴァンの妻役のポリー・バーゲンで、夫へのキスとジョークが多いのが特徴だが、普通に綺麗なだけ、と云うと云い過ぎかも知れないが、あまり印象に残らない役。もう一人が、ガスマンの妻のメアリー・ザヴィアンという人で、これが、夫のガスマンをけしかけて、追跡者たちを困らせる悪女なのだ。沼地をカヌーに乗って現れる
登場カットも特別感のあるもので、この人が、もっともっと機能すれば、面白かったのにと思う。また、鰐(アリゲーター)の存在について、早くから示唆されるにもかかわらず、出て来るのも遅いし、ほとんどスリルに機能しないのも減点か。ただし、沼地でのガスマンとサリヴァンの殴り合いの殺陣は見応えがある。
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