女性の為に
解説
本年9月紐育で初めて公開されたジャンス会社の大作品で、規模の壯大、撮影の巧妙、真に驚くべきものがある。筋も全部時代をローマ時代にとって、予言者の語る物語で現代を見せ、再びローマに帰って終って居るのは、之と反対のものを多く見て居る眼には面白く映じる。「人間タンク」の製作者ビー・エイ・ロルフ氏監督。俳優には余り御馴染味は居ないが「ウーマン」や「不思議の人」に出たフェアー・ビンニー嬢が顔を見せる。松竹キネマ第1回輸入映画として11月1日より歌舞伎座で公開された。
1920年製作/アメリカ
原題または英題:Madonnas and Men
ストーリー
紀元27年。将にローマは皇帝ツルネリウスの治世で、残虐、放縦な饗宴に日を送って居る。ツルネリウスは王子ゴルディオン、予言者グリマルド、寵姫ネニサ等を従え、大闘技場に闘士の仕合や、基督教徒の娘ロウレンティアの犠牲にされるのを見物に来る。この時予言者は獅子の餌食にならんとするロウレンティアの憐れな姿を見て王子に彼女の助命を乞う為長い物語を聞かせた。2000年の後、現代に物語は起こる。マーシャル・ターナーは30年以前に恋人に棄てられたのを恨んで、実業界に身を投じ心を鬼にして営々辛苦、遂に富豪と成って居る。彼の恋人が農夫ジョン・グリムと結婚して仲に儲けた娘ローラはターナーに誘拐されて彼の妻とされんとした。彼は斯くする事によって一度受けた心の重傷の復習をしたつもりなのであるが、彼の息子のゴードンは父の偏見を直さんと苦心して居た。グリムは石油鉱を発見して成金と成り都へ娘の行方捜索に来り、ゴードンに想を懸けて居る踊子ニノンから手懸りを得て、ターナーの家へ娘を取戻しに乗込む。ターナーはグリムを射殺したが、彼亦心臓破裂して死ぬ。物語を聞き終った王子ゴルディオンは、今迄野蛮な娯楽に耽って居た我身の浅間しさを意識し、女性を護る為にはローマ全体をも対手にすると叫んで、ローレンティアを危急の中に救う。そして皇帝の突然の死によって王子は帝位に登る事になった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- B・A・ロルフ
- 脚本
- バイオレット・クラーク
- 原作
- ケイリー・ウィルソン
- エドマンド・グールディング
- 撮影
- アーサー・A・カドウェル