真実の瞬間(とき)のレビュー・感想・評価
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疑わしきは罪?
友人のみならず妻をも売ったラリー(クリス・クーパー)。共産党集会に顔を出したことがあるだけで罪人にされてしまったというハリウッド史上の汚点。デビッドは、ザナック社長が弁護士に相談するように忠告したことに従わなかったため、新作映画の仕事をほされてしまう。モンロー、ボギー、カザンと実名の映画人が多数登場する映画だ。この映画のあとに『マジェスティック』も作られ、ハリウッド・テンもかなり有名な話になったが、この映画は過去の汚点を告発する初の映画となったことが評価できるのだろう。
ジョー(マーティン・スコセッシ)が共産党員で、ロンドンに逃げるからデビッドに映画の完成を託すシーンがひょうひょうとして面白い。もしかしてチャップリンを表してるのかとも思わせる。
仕事をほされて、あちこち放浪、クリーニング屋でバイトもしていた。ようやく夫婦中もよくなって、久しぶりの仕事をもらったら、7日間で仕上げなくてはならない西部劇だったが1日で解雇される。ザナックからは監督を依頼されるが聴聞会で証言したらという条件付。そんな折、友人の脚本家バーニー(ウェント)がメリルの名前を出してもいいかと頼まれ・・・
原爆反対しただけでも共産党員扱い。妻までもが疑われた上、帰国祝いのサプライズ・パーティまでもが共産党集会にでっち上げられた。もう委員会のやり方は無茶苦茶。多分、ロナルド・レーガンも一枚噛んでいたに違いない。当時のアメリカ政府の恐ろしさがわかる・・・「疑わしきは罪」ってことだ。
【2005年ケーブルテレビにて】
赤狩りで苦しんだ人々を描く。
1950年代のマッカーシズムが吹き荒れる米国で、共産主義者のレッテルを貼られた映画監督の苦悩を描く。様々な登場人物の描写を、散漫と取るか、興味深いと取るかで、本作の評価は変わるだろう。
本作は、主人公の名前を告発した友人とその妻や、幼馴染の脚本家との証言をめぐる葛藤、失業した主人公を献身的に支える元妻など、赤狩りで人生が一変してしまった人々に焦点を当てている。
中には、あっさり亡命を選ぶ監督もいる(マーティン・スコセッシが演じてる)が、赤狩りに巻き込まれた人々を、淡々と描いている。この描き方が、最後まで見れないことはないが、大きく好みが分かれたところかも。
ロバート・デ・ニーロとアネット・ベニングの熱演が、本作を大いに支えている。結末にモヤモヤを感じた人も多いと思うが、赤狩りで苦しんだ人々を描いただけでも、価値のある作品とは思う。
正気の沙汰ではない
赤狩りというテーマを元に、リアリティある描写がされていた点はよかった。共産主義者という冤罪疑惑を回避するために仲間を売ることを求められる。そしてそれが人間関係の破綻にまで追い込む赤狩りは、正気の沙汰とは思えない。共産主義からアメリカを守るための赤狩りのはずなのに、かえって国内を崩壊に導いている。まさに手段が目的化している良い例だ。それだけ当時のアメリカは、ソ連を中心とする共産主義勢力に、強い警戒心を抱いていたのだと分かる。
しかしストーリーは散漫な印象だった。冒頭の知人に対する尋問、その知人の妻の自殺、デ・ニーロが監督の仕事に再び就くも免職、最後の公聴会などのエピソードが、それぞれ単発で起こっていて、結末に向けて一つにまとまっていない印象を受けた。もっとデ・ニーロに焦点を当てるストーリーにした方がよかったのではないだろうか。
クライマックスのスピーチなら「マジェスティック」の方が・・・
50年代のアメリカで吹き荒れた、マッカーシズムに翻弄されたハリウッドと主人公を描く物語。
史実を基にした作品のようですね。
幾つかの映画の題材となっているマッカーシズム。ソ連との冷戦、共産主義への過剰な恐怖と嫌悪。そして、権力者が絶えず欲する仮想敵。アメリカ国中がレッドパージに熱狂し、抗することが出来ない状況がとても良く描かれているように思います。
この映画では、仲間を密告することを良しとせず、仕事とプライドを奪われた主人公と家族の苦悩を活写。ロサンゼルスからも離れ、映画からも離れてもなお、追及を緩めない司直の無慈悲さに戦慄します。
ラストにカタルシスを感じることが出来たか・・・は、観る人によるのでしょう。
制作陣がカタルシスを与えようと工夫したのは分かるのですが、個人的には少し物足りなさを感じました。この映画のモデルになった監督は、結局フランスに亡命してしまったようですから、その意味ではモヤモヤ感が残るラストは仕方ないのかもしれません。
TVドラマみたい
問題提起に終始してしまった
ストーリー展開が遅すぎると思った。まず主人公に問題が起こったらそれをどう対応するかというエピソードはだんだん団塊が進んで進化していかなければならない。この映画のストーリーにはそれが足りない感じがした。ストーリーの序盤で行うようなことをクライマックスで行ってるという感じがした。
最初から最後までずっと同じことで悩んでいて似たようなエピソードが続いていき人間ドラマが展開していかないようなわだかまりを感じた。
それでもこの映画を飽きずになんとか見れたのは女優さんのおかげである。ロバートデニーロの奥さん役の女優がとても私のタイプなのでつい見とれてしまった。彼女はアネット・ベニング。 この女優はバグジー以外に主役級の出演をしていないので残念に思っていた。 今回とても良い役柄で私はたっぷり彼女を見れて良かった。この女優がこんだけ綺麗でゴージャスだからこそ旦那が相当ステータスの高い監督だろうと言うイメージの下支えになっていたと思う。
そんなで一応最後まで見たので問題提起の内容はよく伝わってきた。
アメリカという国は一部の超金持ちたちがその特権を失わないようにコントロールされてる国だとよくわかった。
だが、この 映画のようにテーマに対して直球で行くのは芸がない。くそ真面目すぎる映画になってしまって私のようなやんちゃな人間が見たら面白くもなんともない。こういうテーマを扱う時はもう少しひねって、理想の共産主義国家を描いた映画なんか作っちゃっうとかしてほしい。もしかして今でもアメリカじゃそういう映画は作らせてもらえないのかな?
自由の国アメリカの理不尽さ加減
自由を象徴とした国、アメリカで起きた政治的な問題にとばっちりを受けたハリウッド。
無理矢理、強行的にアカを探す国家と人生を台無しにされても引き下がらないデ・ニーロに男気が。
何とも理不尽な話で昔、軽い感じで取った行動でさえも無理くりに共産主義者の烙印を押すアメリカのやり方には胸糞が悪くなる。
ラストの非米活動委員会とのやり合いはデ・ニーロの一貫した怯まない態度と言動にアメリカのやり切れなさに涙する。
俺はアカだからとロンドンに逃亡するスコセッシの呆気らかんとした感じは軽いノリで笑える。
E・カザンなんかは密告してハリウッドで映画を撮り続けられたが周りの目は密告者としての厳しい態度であったろうに密告するもしないも立場はキツい訳で。
大人な50年代の雰囲気も渋くて物語がシビアな分、楽しめる箇所でもある。
罪も無く間違った行動を取っていない正しい人間を罰しようとする国は理由も時代も様々にどこの国にでもある失態であろう!?
アメリカとソ連が仲違いする前のナチスドイツ時代に共産党に関わった人ですらアカ狩りの対象にする理不尽極まりないやり切れなさ。
日乃出会館内劇場にて鑑賞。
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