砂漠の新月

解説

「猫と提琴」「カイロの一夜」のラモン・ノヴァロが主演する映画で、オリヴァー・ラファージ作の小説を「世界拳闘王」のジョン・リー・メインが劇作家ジョン・コールトンと共同して脚色し、「宿命の窓」「世界拳闘王」のレスター・ホワイトが撮影したもの。助演者は「コンゴ」のルーペ・ヴェレス、ウィリアム・ディケンスンのほかインディアンが多勢特に出演している。

1934年製作/アメリカ
原題または英題:Laughing Boy

ストーリー

北米に住む「ナヴァホ」インディアン族は年に1回チラニの土地で恒例の祭壇を開き各地に散在する同族がこの地に集まり盛大に歌ったり踊ったりする。ある年の祭壇に初めて一家を代表して北部から上って来た「笑顔の坊や」は特馬に乗って吉例の競馬に出たが「赤鬼」という男の悪計にかかって敗れ、賭に負けたので復讐の為、相撲の勝負を申し込み職業力士の「赤鬼」を見事負かした。「笑顔の坊や」の美貌と腕前に惚れ込んだのは「柳の乙女」という同族の、昔幼時から白人の町に育った美しい孤児の娘だった。「柳の乙女」の素性には兎角の噂があったが彼女の情熱にほだされた「笑顔の坊や」は両親や親戚の反対を押し切って彼女と結婚した。昔白人の生活に馴れた彼女には到底インディアンの生活に同化する事は出来なかった。2 人はインディアンの風習に背いて両親と別居し「柳の乙女」は時々、白人の町に出て「商売」をしてその金で羊や馬を買い、若夫婦の生活はとにかく幸福だった。「笑顔の坊や」にとって唯一の不幸は妻が、あまり度々「商売」に出掛けて家を空ける事だった。彼はある時、あまりに女房の帰りが遅いので待ち兼ねて彼女の居るロス・バロスの町に迎えにきた。そして見出した事は「柳の乙女」の「商売」は彼の信頼に背いて、昔馴染みの白人に媚を売る事だと言う事がわかった。彼は怒りの余り、携えた弓に矢をつがえて発しとばかり女の胸に射込んだ。「柳の乙女」は夫の手にかかって死ぬ事を喜んだ。そして苦しい息の下から彼女は心から夫を愛している事、2 人の幸福の為にのみ善からぬことをやった事、2 つの神に仕えた自分は死んで初めて同族のもとへ帰れるのだと言うことを述べ「笑顔の坊や」の手に抱かれながら死んでゆくのだった。

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