国境の狼群(1934)
解説
「轟く天地」「森の男(1933)」と同じくゼーン・グレイ原作、ジャック・カニンガム脚色、ヘンリー・ハサウェイ監督、ランドルフ・スコット主演の西部劇で、撮影は「砂漠の遺産」のアーチー・スタウトが担当した。助演者は「轟く天地」のモント・ブルー、バーバラ・フリッチー、「新世紀」のファジー・ナイト、「第三階級」のフレッド・コーラー、バートン・マクレーン、チャールズ・ミドルトン等である。
1934年製作/アメリカ
原題または英題:The Last Round-Up
ストーリー
南北戦争の頃のこと、米国西部のアイダホ州一帯には「国境団」と呼ばれる不逞の徒の一団が横行して住民達を戦慄させて居た。彼等はジャック・ケルスを首領に、バンコ、サム等を主なる団員とする強盗団で、神出鬼没、或いは宿駅を劫掠し、或いは家畜を盗み、時に列車を襲撃するのであった。この連中は何れも兇状持ちの無頼漢揃いだった。首領のケルスは北軍の騎兵大尉だったが上官を殺して逃亡した男で、サムは獣の様な殺人鬼、バンコはミシシッピ河を職場とする博徒だったが、博奕の上で人を殺して西部に逃げて来ている人間だし、其他の面々も大同小異の暗い過去を持つ男ばかりであった。首領ケルスが或時アリゾナ・シティーに様子を見に行くと、町の人々が一人の青年を囲んで騒いでいた。その青年はジム・クリーヴという男で、ケルスの部下が殺した老鉱夫を彼が殺したとの嫌疑を被り、まさに私刑に処せられようとしているところだった。ケルスはジムを気の毒に思って人々を脅かして彼の危難を救ってやった。ジムは感謝して、丁度牧童を失業している矢先だったので、ケルスの一味に加わることになった。一味がアリゾナ・シティーを襲う好機を狙って山中に隠れている時にサムは町からジョーン・ランドールという若い娘を掠って来た。首領ケルスは荒くれ男ばかりの間に若い美しい娘が居ては物議をかもす基だと云って彼女を一室に監禁し、誰も手出しをしてはならぬと命じた。そのうちジムが見張り役を命じられたが、彼はジョーンを「国境団」の手から救い出してやろうと考え、秘かに山塞を脱出した。町に駆付けたジムはジョーンを救い出す為に自警団組織の急を説いたが、町の人々は、これは「国境団」が町を襲うのに好都合な様に町の防衛を手薄にさせようとする策略だと云って取合わず、ジムを捕えて了った。ケルスは自警団がジョーン奪回に来るかも知れんと考え、町の防衛が留守になっている隙に乗じて襲撃しようと大挙して町に殺到した。此時町民は「国境団」に対する防衛を整えていたので迎え撃って町中は修羅の戦場と化した。そして「国境団」はこの激戦で大半の団員を失った。ジムは命の親たるケルスと重傷を受けたバンコを危地から脱出させた。併しバンコは根拠地に帰る途中落命した。ジムはジョーンを救い出して町へ引返したそれを見とめたサムは追駆けた。ケルスはジムの為めに兇暴なサムを撃ち殺した。そしてケルス自身も深傷を被って最期を遂げた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ヘンリー・ハサウェイ
- 脚色
- ジャック・カニンガム
- 原作
- ゼイン・グレイ
- 撮影
- アーチー・スタウト