仮面の男(1929)
解説
舞台俳優として知られているアラン・バーミンガム氏がフォックス入社第1回の主演映画でルイス・ジョセフ・ヴァンス氏原作の小説から「紐育万華鏡」「化物行進曲」のフレデリック・ハズリット・ブレナン氏とマルコム・スチュアート・ボイラン氏とが脚色し台詞をつけ新進のラッセル・J・バードウェル氏が監督し「踊るカレッジ」のチャールズ・G・クラーク氏が撮影した。「海の王者」「遥かなる叫び」のリーラ・ハイアムス嬢、「紐育の波止場」のクライド・クック氏、「海の復讐」のJ・ファーレル・マクドナルド氏、リタ・ル・ローイ嬢、ジョン・ブリーデン氏、ジョージ・ピアース氏等が助演している。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:Masquerade
ストーリー
若きロマンティストで、生粋のニューヨークっ子のメイトランド は従者と共に欧州から帰ってきた。彼が自分の部屋へ入ろうとする際に一人の若い美人が擦れ違ってエレヴェーターに乗った。部屋へ入ってみるとそこら中が掻き回されていた。テーブルの上の塵へ残された小さい手の跡は明らかに女盗賊の侵入を物語っている。女盗賊--それを考えた時メイトランドの空想的な心は燃え立った。この盗難事件は訴えられ警官が出張したが何故かメイトランドは事実を物語らないばかりか女盗賊がなるべく捕まらぬことを祈った。警官の推定は有名な悪漢のアニスティーを犯人だと目星をつけた。新聞紙には被害者のメイトランドの写真入りで盗難記事が掲げられた。その写真を見て喜んだのが悪漢のアニスティー。それもその筈アニスティーとメイトランドとは瓜二つなのであった。メイトランドはその後、郊外の別荘へ行った時またもやビックリさせられた。先日の怪しの女が自分の机を掻き回しているではないか。ロマンティストのメイトランドはとっさに悪漢アニスティーを装ってこのシルヴィアという女賊を手伝い金庫から自分の宝石を取り出して彼女に与えた。この時本物のアニスティーがピストル片手に現われメイトランドに迫ってきた。格闘の後メイトランドはアニスティーを倒してシルヴィアと外に出て翌日再会する約束をして別れた。捕えられた悪漢アニスティーは監視の隙をうかがい姿をくらます。翌日彼は探偵に変装してメイトランドを訪ね油断をみすまして押入れの中に閉じ込めシルヴィアに会うべく出かけた。シルヴィアはアニスティーが偽りであるのを知りその場を外しメイトランドの所へ駈けつけた。その時メイトランドは押入を破りシルヴィアをアニスティーより救うべく赴いたため両人は行き違ってしまった。仕方なくシルヴィアはメイトランドの弁護士の所へ行く。アニスティーは彼女の跡を追う。メイトランドは途中でアニスティーと誤認される。かくして追跡、乱闘の後、悪漢は縛につきシルヴィアが真の女賊でないことが判明してメイトランドと抱擁する。