劇場公開日 1955年4月15日

喝采のレビュー・感想・評価

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4.0ある母娘の不幸

2023年1月11日
iPhoneアプリから投稿

金銭的事情により修道院から連れ戻された少女は、薄い舞台幕に黒い影となって揺蕩う半裸の母の姿に不安定な自分自身の未来を見る。芸者の苦悩を娘にまで伝播させるべきではないと考えた母は彼女に外の世界を見るように促すが、意地の悪い義父は娘をも売り物にしようと画策する。娘はニューヨークの薄汚い街を彷徨するうちに、心優しい海兵の青年と巡り合う。このときのカメラワークは巧みだ。娘の脚部だけを写したショットは男たちの下品な誘いを無意味で匿名的なノイズとして排除する。しかしふと端正な身なりの海兵が現れ、そこではじめてカメラは彼と彼女の表情を映し出す。恋に落ちる、という心理作用が単純なカメラワークだけで示された素晴らしいシーンだ。娘は海兵との結婚を決意し、母もそれを肯定する。ただ一人批判的だった義父も、最後には母が自らの手で追い払った。しかし一方で母は踊り子としての「賞味期限」を迎えようとしていた。すなわち食い扶持を失いかけていた。母への思慕を捨てきれない娘は海兵との結婚を破談にし、踊り子として舞台に立つことを決意する。しかし時既に遅し、母は二人の生活を邪魔すまいと毒杯を仰いだ後だった。とはいえ最後はハリウッド映画らしく、舞台で嫌々ながら踊りを踊る娘の前に旅立ったはずの海兵が舞い戻ってくるところで映画は幕を閉じる。「これからは3人で一緒に暮らそう」と娘の肩を抱く海兵の言葉が既に事切れた母のショットと虚しく重なり合う。結局のところ男に振り回され続けてきた、そしてこれからも振り回されることになるであろう不幸な母娘の物語だった。

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因果

4.0余韻を残す

2019年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 子どもを自らの不注意で死なせてしまった過去のため、飲んだくれで落ちぶれてしまっていたフランク。プロデューサーは過去の俳優を起用するなんてと大反対。  なんとか短い契約期間で劇出演を承諾することになったが、妻ジョージー(ケリー)が衣装係や舞台裏にまで口を出すほど神経質になった。二人とも再生の道を模索している。地方公演初日もさんざんな批評で落ちこんでしまうが、酒場で酔っ払うと歌手とデュエットしてしまうほど。このシーンがなかなか素敵です。  後半の意外な展開。フランクの絶頂期の台詞のことや、まさかバーニーとジョージーがキスするなんてことも・・・NY公演では代役を使うかどうするかと葛藤があるのに。立ち直るのにはまわりの協力がどうしても必要だったフランクと、彼を立ち直させるために自分を殻に閉じ込めていたジョージー。突然の求婚に迷ってしまう・・・  ラストは余韻を残すいい終わり方。二人の行く先を凝視しないと間違えてしまいそうだ。

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kossy